ソーシャルマーケティングとは?効果や事例を紹介

ソーシャルマーケティングとは?効果や事例を紹介

マーケティング・販促

近年、世界的に環境問題や経済格差への関心が広がっています。企業でも、SDGs(持続可能な開発目標)を経営に取り入れる動きがあり、社会貢献への意識が高まりを見せています。そこで注目されているのがソーシャルマーケティングです。一般的なマーケティングの目的は売上を伸ばし、利益を出すことですが、ソーシャルマーケティングでは社会が良くなることを目指します。この記事ではソーシャルマーケティングの基本的な知識と、ソーシャルマーケティングが企業にもたらす効果や成功事例を紹介します。

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ソーシャルマーケティングとは何か

まずソーシャルマーケティングの基礎知識と、ソーシャルマーケティングが今、注目される理由を解説します。

ソーシャルマーケティングとは

ソーシャルマーケティングとは、ビジネスにおけるマーケティングの考え方を社会全体の利益を追求するために適用し、問題の解決を図ることをいいます。

商品やサービスの購入、利用を促すためのマーケティングではなく、社会を良くするための考え方や行動指針などへの認知と理解を広め、世の中に浸透させるためのマーケティングです。

ソーシャルマーケティングには以下の2つの側面があります。

  • 行政機関の運営や社会変革といった公益のために、従来のマーケティングの発想を活用するという側面
  • 企業が、社会を良くすることを目指して行う活動という側面

2つめは、米国の経営学者であるフィリップ・コトラーが1971年に提唱した「企業も社会的責任を果たすべきである」という考えがもととなっています。

20世紀後半は、大企業の利益追求によって消費者が被った不利益(粗悪品や不適切な価格設定、公害など)が、大きな社会問題となっていました。そうした背景のもとで、道義的な責任や倫理的な行動が企業に求められるようになり、次第に一般化してきたのです。

ソーシャルマーケティングが注目される理由

今、ソーシャルマーケティングが注目されている理由には、災害や環境問題、経済格差、性差別といった社会課題に、多くの人が問題意識を持つようになったことが挙げられます。情報化時代になり、多くの人が「社会を構成する一員」として企業の行動をチェックし、その社会的責任に目を向けています。

一方で、モノがあふれ、商品やサービスの中身だけで勝負するのが難しい現代では、企業としての在り方を示すことは他社との差別化につながります。

こうしたなかで、信頼できる企業としてのブランディングの重要性が増し、社会に貢献する姿勢を示すソーシャルマーケティングが注目されるようになったのです。

ソーシャルマーケティングとCSR

企業の社会貢献活動を表す言葉としては、CSRもよく使われます。CSRとソーシャルマーケティングの違いとはなんでしょうか。

CSRとは?

CSRはCorporate Social Responsibilityの略で、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任を意味します。CSRの概念は、ソーシャルマーケティングと同じ時代背景のもとで発展してきました。日本では、2003年ごろからCSRの取り組みが本格化。今では多くの企業が、CSRの関連部署を設け、定期的に活動レポートを発行しています。

CSRでは、取引先や消費者、投資家だけでなく、従業員や地域のコミュニティ、社会全体までを、企業のステークホルダー(利害関係者)と捉えます。そして、企業はステークホルダーとの交流を通じて、社会の一員として責任のある意志決定をし、活動を行うべきだと考えます。

その責任の範囲は非常に広く、法令順守はもとより、製品やサービスの安全確保、廃棄物やリサイクル対策を含めた環境保護、労働環境の改善、人材の育成、人権の尊重、公正な競争、地域貢献、地域投資やメセナ活動、寄付やチャリティー活動などを含みます。

ソーシャルマーケティングとCSRの違い

このように多様で幅の広いCSR に対して、ソーシャルマーケティングはメッセージの発信とその浸透に重点を置くことで、社会を良くしようとする活動です。つまり、ソーシャルマーケティングは、CSRのなかのひとつの分野と考えることができます。

ソーシャルマーケティングの効果

これまで見てきたように、社会貢献を果たすことで企業イメージがアップするという点から、ソーシャルマーケティングはブランディングのひとつと考えられます。多くの人々がその企業を評価し、選ぶようになれば、結果として利益は向上するでしょう。具体的には、以下のような効果があります。

  • 競合他社と差別化できる
  • 資金調達がしやすくなる
  • 従業員のエンゲージメントを向上させる/人材確保がしやすくなる
  • 企業イメージの向上


それぞれ解説します。

競合他社との差別化

前述の米国の調査結果のように、同じ品質、価格の商品が並んでいるのであれば、消費者は社会に貢献している企業の商品を選ぶ傾向があります。ソーシャルマーケティングは差別化のポイントになり得ます。

資金が調達しやすくなる

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視する経営を行う企業を対象とする融資(ESG投融資)が増加しています。ソーシャルマーケティングによって、株主や投資家の信頼度が向上することで、資金調達が有利になり、経営の安定化を図れます。

従業員のエンゲージメント向上・人材確保

自社の活動を通じて従業員の社会貢献への意識が高まります。そして、誇りを持てる自社に対する愛社精神の醸成が期待できます。また、若い世代は社会貢献への意識が比較的高いことから、優秀な人材を確保しやすくなる可能性があります。

企業イメージの向上による保険効果

社会貢献を重ねることによって多くの人の信頼を培ってきた企業は、万が一トラブルが起きてもダメージを受けにくい傾向があります。もちろん、その信頼を裏切らない誠実な対応が必要です。

ソーシャルマーケティングの事例

最後にソーシャルマーケティングの事例を3件、紹介します。

天然水の森 人類以外採用 [サントリー]

サントリーでは、「工場で汲み上げる地下水よりも多くの水を生み出す森を育む」という目標を掲げ、2003年から森づくりをしています。特設サイト「天然水の森 人類以外採用」では、天然水の森に住む動物や植物を社員に見立て、豊かな水を生み出す森の生き物の営みや、同社の森を守る活動を紹介。2015年に第3回Webグランプリの企業BtoCサイト賞でグランプリを獲得しました。

JALカーボンオフセット [日本航空]

カーボンオフセットとは、飛行機の運行によって排出するCO2を、植林や森林保護などによって埋め合わせる仕組みです。日本航空では、乗客に対して、自身の搭乗によって排出するCO2分に相当する金額を、森づくりや水インフラ整備をする団体に寄付することを呼び掛ける取り組みを行っています。

トヨタ環境チャレンジ 2050 [トヨタ自動車]

トヨタでは2015年に、持続可能な社会の実現に向けて取り組む「トヨタ環境チャレンジ 2050」を発表。クルマのマイナス要因を限りなくゼロにし、社会にプラスをもたらすことを目指しています。2050年には新車のCO2排出をゼロに、工場のCO2排出をゼロに、そして製造から物流、廃棄・リサイクルまでのライフサイクルにおけるCO2排出をゼロにするといった目標を掲げ、さまざまな取り組みを進めています。

ソーシャルマーケティングに取り組んで、人々に愛される企業になろう

人々は社会に貢献する企業に良いイメージを抱きます。そして、企業のイメージは消費者の商品選びに影響を与えます。ソーシャルマーケティングは、社会の一員として社会に対する責任を果たすという、企業の姿勢を示すブランディング活動のひとつです。その姿勢が広く認知されれば、消費者はその企業の商品を買うこと自体に満足感を抱くようになるでしょう。自社が社会に貢献できることは何かを長期的な視点で考え、企業価値を高めていきましょう。

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