VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは?意味や事例を解説

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは?意味や事例を解説

マーケティング・販促

ブランディングでは、自社の魅力や特性、価値をどのように表現するかが成功のカギとなります。VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、私たちが目にする企業やブランドに関わるデザインのすべてであり、それらのイメージを大きく左右する要素です。今回はVIの基礎知識から、VIとCI(コーポレート・アイデンティティ)の関係性、VIの事例までを紹介していきます。


CI入門マニュアル

VIとは

VI(ビジュアルアイデンティティ)とは、企業やブランドの価値やコンセプトを目に見える形にし、視覚を通してブランドメッセージを伝えるあらゆるデザイン要素をいいます。

VIは、ブランドシンボル、ブランドロゴ、カラー、デザインエレメント(ロゴやアイコン以外のグラフィックパターン)、指定書体のようなデザイン素材などがあります。さらにそれらの素材を活用したWebサイト、宣伝・販促ツール、店舗内装・外装、商品パッケージ&紙袋、制服、名刺、封筒、パンフレットのような印刷物のデザインなどもすべてVIに含まれます。

視覚は人間の五感の中で情報判断に対する影響が最も大きいと言われています。また、特定の色や形を目にした際に人が抱くイメージには、ある程度の共通性があります。例えば赤は元気さを感じさせ、緑には環境に優しいイメージがあります。曲線は穏やかさを、鋭角的な図形は挑戦的なイメージを人に感じさせます。

こうしたビジュアルの効果を活用することにより、多くの人に共通したイメージを持たせることが可能になるのです。

VIとCI

ブランディング戦略においてよく耳にする用語に「CI」がありますが、VIはCIの構成要素と位置付けられます。CI(コーポレートアイデンティティ)の考え方やVIとの関係を解説します。

CI(コーポレートアイデンティティ)とは

CIはコーポレートアイデンティティの略語で、企業が自社の理念や個性、強みなどを社内外で共有し、統一したイメージを持たれるようにする取り組み全般を指します。

CIは、多くの企業のなかから自社を明確に認識してもらうために、また、社内の意識統一を図るためにも行われます。

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CIの構成要素

CIは、VIを含む3要素で構成されます。VI以外の2つの要素について説明します。

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MI(マインド・アイデンティティ)

「理念の統一」と訳されるMIは、企業理念やブランドコンセプトを指します。企業、ブランドの存在意義やあり方を「言葉」で表現するものです。

BI(ビヘイビア・アイデンティティ)

BIは「行動の統一」と訳され、MIを具体的な「行動」に落とし込んだものです。

行動指針や行動規範のように、社員やスタッフに一貫して求められる行動や振る舞いを指す場合と、MIを実現するための具体的な計画や実践を指す場合があります。

VIとCIの関係

これまで説明してきたように、VIはCIを「ビジュアル」で表現するものです。

自社ブランドをひと目でほかのブランドと見分けてもらうには、ロゴやカラーによってそのブランド「らしさ」が表現されていることが大切です。VIはCIの要素のなかでも消費者の認知への影響が大きいため、かつてはロゴやデザインを作り替えることをCIと呼んでいた時代もありました。

現在ではCIは、より幅の広い概念として捉えられています。MIもBIもVIも同じひとつのブランドコンセプトを表現する方法であり、その全体がCIなのです。

ですから、VIは単なるブランドイメージの表現ではなく、ブランドの価値や存在意義を伝えるものだという意識が必要です。もしVIの制作で迷うことがあったら、ブランドコンセプトに立ち戻り、MIやBIと照らし合わせながら判断していきましょう。

VIの効果

次にVIの効果について説明します。

企業、ブランドの世界観を効果的に浸透させる

統一されたデザインを通じて、自社らしさやブランドメッセージ、強み、個性などを的確に伝え、効率的に浸透させることができます。社員やスタッフなど、企業内でのブランドに対する意識の統一も図ることができます。

信頼感を高める

消費者は、そのブランドとのあらゆるタッチポイントで、同じデザインを目にすることになります。繰り返し同じデザインに触れることで認知が進み、「知っているブランド」としての信頼感が高まります。

ひと目で分かる

そのブランドであることが瞬時に伝わるデザインは、競合との差別化に役立ちます。

店頭の宣材や商品パッケージをぱっと見ただけで、どのブランドの商品なのかを認識してもらえるため、手に取られる可能性が増えるのです。同一ブランドで複数の商品を展開している場合も、VIによって「あのブランドだ」と特定されれば、知らないブランドの商品に比べて信頼感を持ってもらいやすくなります。

その結果、商品を知ってもらうために行う広告やプロモーションの必要性が下がり、コストを軽減することができます。

VIの成功事例

最後に、VIの成功事例を2件ご紹介します。

水玉模様がさわやかさ、なつかしさ、甘酸っぱさを伝える[カルピス]

白と青の水玉模様といえばカルピス(アサヒ飲料株式会社)を想起する人が多いのではないでしょうか。ブランドサイトのカルピスファン会員ページが「みずたまラボ」と名付けられていることからも、水玉がカルピスブランドを象徴するデザインであることが分かります。

実は100年以上もの間、カルピスのパッケージには、色や形を変えつつも青と白を使った水玉模様が使われ続けてきました。

カルピスが今も大切に守っているものはもうひとつあります。それは、創業者が掲げた4つのポリシー「おいしいこと」「滋養になること」「安心感のあること」「経済的であること」です。

このポリシーは「大切な人への思いや家族愛」につながると考えられることから、カルピスでは「家族と過ごした時間」「子どものころの夏の思い出」といった情緒的な価値を軸に宣伝やプロモーションを続けています。

水玉を中心としたVIは、訴求してきた情緒的な価値と、商品自体の甘酸っぱくさわやかな味とを結び付け、カルピスならではの世界観を表現することに成功しています。

世界展開に向けて、日本らしさを盛り込んだシンプルで明快なロゴ[ユニクロ]

ファーストリテイリンググループが展開するユニクロでは、あらゆる人の生活をより豊かにするための服として「LifeWear」を提唱しています。また、世界中のあらゆる人に、服を着る喜びを提供することを表す「MADE FOR ALL」をミッションとして掲げ、グローバル展開を強化してきました。

クリエーターの佐藤可士和氏が手掛けたユニクロのロゴマークは、正方形の真っ赤な地色に独特の書体のブランド名が白抜きされています。アルファベットとカタカナのバージョンがありますが、両者を並べて使うケースもよくあります。海外でもあえてカタカナのロゴが使われます。

このロゴはモノづくりの質の高さとポップカルチャーという2つの「日本らしさ」を融合して表現したデザインと言われており、ユニクロの世界進出の意思が込められています。

赤は元気が出る、活発なイメージを持つ色です。真っ赤な地に白いフォントは、視認性が高く、印象に残りやすい効果があります。色も形もシンプルで明快で、拡大していく事業のさまざまな形態に展開しやすく、活用の幅が広い秀逸なVIだと言えるでしょう。

企業理念やブランドコンセプトを中心に据えてVIに取り組もう

多くの消費者は、ロゴやマーク、パッケージといった視覚的な要素でブランドを見分けます。そのため、VIはブランディングにおいて重要な役割を果たします。ただし、VIはブランドの理念やコンセプトをビジュアルに落とし込むものであり、おしゃれで目立てばいいというものではありません。ブランドの存在価値をしっかりと意識して、VIに取り組みましょう。

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