ただの慈善事業ではない、社会貢献と利益向上を実現できるコーズマーケティング

マーケティング

CSRやサステナビリティというワードが注目されるなかで、コーズマーケティングという考え方も広く知られるようになってきました。企業が社会的貢献を通じて顧客の関心を引き、結果的に利益向上や企業イメージ向上を目指すというコンセプトのマーケティングのことです。一見、良いことばかりに見えるコーズマーケティングですが、成果を出すことは難しいともいわれています。ここでは成果を出すためのヒントについて、世界の成功事例を交えて説明します。

コーズマーケティングとは?課題はあるの?

特定の商品やサービスを購入すると、その金額の一部が寄付を通じて環境保護や社会貢献に結びつくことがあります。コーズマーケティングとは、この「コーズ(社会的大義)」を消費者に訴えることで、商品の販売促進や製品のブランド化、企業のイメージアップを図る手法のことをいいます。

消費者は、自分の消費活動が社会貢献にもつながると知ることで、購入の背中を押される。消費者のこのような行動が想定されるため、コーズマーケティングを行う企業は、一般的な寄付とは違い、利益の向上にもつながります。現在、企業においてはCSR(企業の社会的責任)の手段としても注目されています。

しかし一方で、多くの企業がコーズマーケティングに参入したことでインパクトが弱くなってしまったり、結局成果が出ずただの慈善事業になってしまったりしているという課題もあります。具体的には以下のような例があります。

  • コーズだけでは消費者の心を動かすことはできず、販売チャネルやプロモーション、パッケージなどに予算を投下しなくてはいけない。

  • マス広告キャンペーンだけでは消費者が店頭に足を運ばせるほどの効果がなく、購買に至らない。

  • 企業が売り上げや利益を増やすための“エサ”として社会貢献を利用していると認識され、消費者にかえってネガティブな印象を与える可能性がある。

これらの課題を解決し、社会貢献と利益向上を同時に実現するためには、どのような点を意識すれば良いのでしょうか?

世界のコーズマーケティングの成功事例

 まずは、世界で成功したコーズマーケティングに関する3つの具体的な事例をご紹介します。

事例1:ショッピングで女性の起業家を支援

ニューヨークでオープンしたChooseWomenは、「ショッピングが女性起業家の支援につながる」ことを提言したショッピングサイトです。WEBサイト上で、地元の女性起業家による商品やサービスを検索することができ、商品を購入すると売り上げの1%が発展途上国の女性が起業するために活用できる小額の貸付ローンとして送られます。これは「商品を購入すると社会貢献につながる」というコンセプトからもう一歩踏み込んでおり、先進国と途上国におけるつの意味での「女性起業家の支援」を実現したユニークな事例です。

事例2:ニットキャップ付きのスムージーで高齢者に暖かい冬を

イギリスの飲料メーカーは、スムージーのペットボトルのふたに小さなニットキャップをかぶせる「The Big Knitキャンペーン」をコーズマーケティングとして行いました。消費者がニットキャップをかぶったスムージーを購入すると、社会的に隔離されている高齢者に25ペンスが寄付される仕組みで、「高齢者たちに寒い冬を暖かく乗り越えてもらおう」というコンセプトです。キャンペーンを開始した2003年以降、キャンペーンでの寄付金は190万ポンドにのぼる成功をおさめています。さらに高齢者を含めた社会的に孤立している層と、地域の人が一緒に行う編み物グループも作られ、地域内で世代や階級を超えたコミュニケーションが増えました。これもキャンペーンから派生した社会的貢献のひとつだといえます。

事例3:オムツで破傷風のワクチンを

衛生関連メーカーがユニセフとパートナーシップを結び、オムツを1パック購入すると破傷風のワクチンが1つ発展途上国に寄付されるというコーズマーケティングを展開しています。ワクチンは妊産婦と新生児を破傷風から守ることができます。オムツという母親たちが必要としているものを購入すると、世界の子どもたちにも貢献できることを訴えました。また社内のスタッフも「赤ちゃんの発育を助ける」というブランド理念に沿った活動に携われることを誇りに思ったそうです。パートナーにユニセフというブランドを選んだことが、一時的なキャンペーンでなく、持続可能なコーズマーケティングになった一因だといわれています。

コーズマーケティングで成果を出す5つのヒント

 では、これらの成功事例から、コーズマーケティングを成功に導くポイントを考えてみましょう。

自社のミッションに合ったテーマ

成功事例を見ると、どれも自社のミッションや商品とキャンペーン内容がマッチしています。自社のミッションや考え方、商品と関連付いたキャンペーンであることが顧客の共感を得るためには重要です。

競合他社のコーズを分析

ショッピングサイトの例でもあるように、他社が行っているコーズマーケティングを分析し、さらにもう一歩踏み込んだアイデアを出すことが成功の鍵になります。

パートナーの選定

ユニセフとパートナーシップを結んだことが成功の一因となった衛生関連メーカーのように、一緒にキャンペーンを行うNPOやパートナーは慎重に選定しましょう。

キャンペーン範囲の設定

コーズマーケティングは発展途上国への寄付を行っているケースが多いですが、必ずしもその必要はありません。 国際的支援はもちろん、飲料メーカーの例でもあるように、企業理念やコンセプトによっては国内や地域内のコーズに注目することも必要です。

店頭での訴求

消費者の購買行動に結びつけるためには、マス広告キャンペーンのみでなく、店頭でのPOP(Point of Purchase:消費者の購買地点に近い店頭で展開されるプロモーション)による最後の一押しが重要です。

まとめ

コーズマーケティングの成功事例から、成果を出すヒントをご紹介しました。顧客の目を引くインパクトと、社会貢献、さらには利益につながり成果が出るコーズマーケティングを試してみてはいかがでしょうか。

 

参考:

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