マーケティング戦略とは?立案方法やフレームワーク、事例を紹介

マーケティング戦略とは?立案方法やフレームワーク、事例を紹介

マーケティング・販促

現代のビジネスでは、どのような業種・業界であってもマーケティング戦略が不可欠だと言われています。しかし、マーケティング戦略とは何か、具体的な内容を問われると、うまく答えられない人もいるのではないでしょうか。今回は、マーケティング戦略の基本的な考え方と、戦略立案に役立つフレームワークを解説します。

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マーケティング戦略とは?

マーケティング戦略とは、「市場(顧客)にどうアプローチするか」を相手のニーズや自社の状況をもとに検討し、策定するプランです。具体的には、自社の商品やサービスについて「誰に対して」「どのような価値を」「どのくらいの対価で」「どのように」提供するかを決定することを言います。

マーケティングとは

そもそもマーケティングとはなんでしょうか? マーケティングの定義はさまざまですが、三省堂大辞林には“消費者の求めている商品・サービスを調査し、供給する商品や販売活動の方法などを決定することで、生産者から消費者への流通を円滑にする活動”とあります。

別の言い方をすれば、マーケティングでは、商品・サービスの開発、生産、営業、販売といった一連のプロセスを計画・実行・管理します。その計画・実行・管理をどう行うかという設計図がマーケティング戦略なのです。

マーケティング戦略の重要性

現代のビジネスにおいて、マーケティング戦略はなぜ必要とされるのでしょうか。

モノがあふれる時代にあっては、商品やサービスそのものの価値だけでは、消費者の目に留めてもらい、選んでもらうことはできません。情報化社会の中で消費者の興味や関心、購買行動は細分化し複雑になっています。

企業は、そうした消費者のニーズに合わせて、商品・サービス自体や売り方、売る場所、情報の提供方法などを変えていかなくてはなりません。どうすれば消費者に商品を知ってもらえるか、買ってもらえるかといった明確なマーケティング戦略があって、初めて競合と戦うことができるのです。

マーケティング戦略の立て方

次に、マーケティング戦略を立案する際のステップを紹介します。

1.内部・外部環境分析

初めに行うのは、自社商品が置かれている状況の把握です。消費者ニーズ、市場動向、競合などの外部環境、商品の市場における立ち位置、強み・弱みといった内部環境を調査・分析します。

2.セグメンテーション・ターゲティング

次にターゲット層の切り分け(セグメンテーション)を行い、そのなかでどの層に狙いを定めるか、対象を絞ります(ターゲティング)。

例えば、女性向け基礎化粧品市場の中でも、10代と50代では商品に求める機能、払える金額、購買先、宣伝方法などが異なります。どういった層をターゲットにするかによって、戦略の方向性は大きく変わるのです。

3.バリュープロポジションの明確化

バリュープロポジション(Value Proposition)とは、顧客に提供する価値です。自社が提供する商品やサービスの品質・価格・利便性・性能などが、顧客にどんなメリットをもたらすのか、競合と差別化し優位に立てるポイントは何かを明らかにします。

バリュープロポジションを明確にしたマーケティング戦略には、以下のようなものがあります。

  • コストリーダーシップ:「業界最安値」のように価格を低く抑えることにより、競合の優位に立つ戦略
  • 差別化戦略:高付加価値商品の開発、ユニークなプロモーションなど、競合にはまねできない価値を打ち出す戦略
  • 集中戦略:業種、顧客、用途などを狭い範囲に絞り込み、資源を集中的に投下する戦略

 

4.マーケティングミックス

マーケティングミックスは、マーケティング全体における「実行戦略」です。具体的には、マーケティングにおいて重要な4つのP、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」を考えて、組み合わせることを言います。

マーケティングミックスでは、市場のニーズと各要素との間や、要素同士に矛盾がないように設定します。例えば、10代向けの商品を高価格に設定するとか、高齢者向け商品をECサイトのみで販売するといった齟齬(そご)が生じないようにします。

近年では、4Pの要素を顧客側の視点から考える「4C分析」が、マーケティングミックスによく使われるようになりました。4Cの詳細は、フレームワークのひとつとして後述します。

マーケティング戦略の立案に役立つフレームワーク

フレームワークとは、意思決定や分析、問題解決などを行うときに共通して使える「思考の枠組み」です。マーケティングでは、ビジネス環境や戦略を考える際の公式としてよく使われます。あらかじめ決められた項目を埋めていくことによって、取るべき戦略が具体的に見えてきます。

ここでは、マーケティング戦略の立案に役立つフレームワークをいくつか紹介しましょう。

PEST分析

外的な要因から来るリスクを、マクロ的な視点で分析するためのフレームワークです。

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「Politics(政治的要因)」「Economy(経済的要因)」「Society(社会的要因)」「Technology(技術的要因)」の4要因を分析し、自社事業への影響を予測します。先手を打って危機管理を行うことで、外部要因の影響の最小化を目指します。

3C分析

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「Customer(市場・顧客)」・「Company(自社)」・「Competitor(競合他社)」の3つの視点から、現状を分析するフレームワークです。市場・顧客の状況や競合各社の対応、自社の強みをとらえます。

SWOT分析

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内部環境の「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」と外部環境の「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」から、現状を把握するためのフレームワークです。クロス分析を行って現状を整理し、課題とその解決に必要な対応を検討します。

STP分析

「Segmentation(セグメンテーション)」→「Targeting(ターゲティング)」→「Positioning(ポジショニング)」を順に行うフレームワークです。市場を細分化したのち、そのなかから適切なターゲットを絞り込み、その市場の中で優位に立てる自社商品ならではの価値とそのアピール方法を定めます。

4C分析

前述の4Pとともにマーケティングミックスを検討する際に使われるのが4C分析です。

4Cとは、「Customer Value(顧客価値)」「Cost(顧客が払うコスト)」「Convenience(顧客の利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を指し、それぞれが4Pの「Product」「Price」「Place」「Promotion」と対応しています。

マーケティング戦略の事例

最後に、成功したマーケティング戦略として2社の事例を紹介します。

成功するダイエットをアピールし、短期間にポジションを獲得[RIZAP]

RIZAP株式会社は、2010年の創業以来急成長を遂げた、プライベートジムを運営する企業です。当時、すでに多くのダイエットビジネスは存在していましたが、ダイエットの継続は難しく、失敗する人が多いというのが一般的でした。こうした環境の中で、同社が取った戦略は次のようなものです。

  • ターゲティング:お金がかかっても、確実に痩せたい可処分所得の高い層
  • 差別化ポイント:マンツーマンでパーソナルトレーニングと食事指導を徹底的に行う。「結果にコミットする」をキャッチフレーズに掲げ、ダイエットの成功率の高さを強調
  • 提供方法:完全個室でのトレーニングに加え、トレーナーはチャットを使って、いつでも顧客にアドバイス。丁寧なコミュニケーションを取ることで、ダイエットを成功に導く

 

さらに、トレーニング効果を実例で見せるインパクトのあるCMを大量に投下。短期間でダイエット市場における確固たるポジションを獲得しました。

保険料を半分に。若い世代も入れる保険をオンラインで販売[ライフネット生命]

ライフネット生命は、2008年に営業を開始した日本初のオンライン専門の生命保険会社です。当時は、「仕組みが複雑で分かりにくい」「保険料が高い」「加入や請求の手続きが面倒」というのが“保険の常識”でした。そんななか、同社は次のような戦略を打ち出しました。

  • ターゲティング:保険は必要だと考えているが、高額な保険料を負担できない若年層・子育て世代
  • 差別化ポイント:モットーは「正直に」「わかりやすくて」「安くて」「便利に」。保険料を半分にすることを明言し、自分で調べて理解できるような商品設計や情報開示を行う。24時間365日の申し込みを可能にし、利便性を向上させた
  • 提供方法:保険料を抑えるため、情報提供も申し込みもすべてネット経由に。プロモーションもWeb広告やSNS広告を中心に展開

 

ライフネット生命は開業以来、右肩上がりで成長し、契約件数は40万件を突破。顧客の約8割を20代から40代の子育て世代が占めています(※)。

※出典:赤字の成長企業?!数字のミカタ|はじめてのライフネット生命

独自性のあるマーケティング戦略を立てて、競争に勝ち抜こう

厳しい市場競争の中で競合に勝ち抜くには、時代に合ったマーケティング戦略が必要です。複雑化、細分化する市場のニーズを把握し、ターゲットを見極めて、自社ならではの強みを伸ばす戦略を実行すれば、商機はつかめます。優れたマーケティング戦略を立案して成果を上げ、事業を成長させていきましょう。

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参考: