キャリアアップとスキルアップの関係性

人事・総務

職務経歴を上げる「キャリアアップ」と、個人の能力を磨く「スキルアップ」はしばしば混同して用いられています。両者の意義は異なりますが、相関関係もあります。スキルアップしたことでキャリアアップの道が開かれたり、逆に、キャリアアップしたことでより高度なスキルアップが求められる場合などです。この記事では、人事担当者が押さえておくべきキャリアアップとスキルアップの違いやそれらの方法をお伝えします。

キャリアアップとは

「キャリア」とは職業・技能上の経験や経歴のことで、それらを向上させることを「キャリアアップ」といいます。企業内で、管理職など、より上層の立場に昇進することはキャリアアップです。契約社員が正社員へ昇格したり、今より上位に位置する立場で他社へ転職したりすることもキャリアアップです。

キャリアアップをするには、客観的に周りから評価される高いスキルや過去の実績が求められます。これらを身に付けるのは容易ではなく、意識的に自らの能力を不断に磨き上げる行動が欠かせません。

スキルアップとは

自らの能力を学習や訓練で向上させることが「スキルアップ」です。すでに持っている能力を鍛えて向上させるパターンと、目指す方向性に従って新しい能力を身に付けるパターンがあります。

スキルアップの機会を企業が提供する場合は、OJT(On the Job Training:職場内教育)とOff-JT(Off the Job Training:職場外教育)が中心になります。

個人がスキルアップを目指す方法としては、各種セミナーや通信教育、eラーニングなどが挙げられます。それらを通して学習しながら資格取得を目指せば、スキルアップのモチベーションが上がる可能性もあります。

キャリアアップへの近道はスキルアップ

従業員のスキルを向上させると、その従業員はより難易度の高い業務を担当でき、高い視点で仕事に取り組めるようになります。この姿勢が社内で評価されれば、従業員のエンゲージメントは高まるでしょう。その結果、その従業員は、会社への貢献度もアップし、昇進や昇給などのキャリアアップにも結び付きます。

また、このように高いスキルや実績を積み上げていけば、企業業績の向上が見込めるのはもちろんのこと、従業員の市場価値を高めることにもつながります。

求められるビジネススキルとは何か

従業員にはどのようなスキルを身に付けてもらえばよいのでしょうか。一般的な社会人に求められるビジネススキルを考えるうえで、アメリカの著名な経営学者、ロバート・カッツ氏の「カッツ理論」が参考になります。

「カッツ理論」で提唱されているのは、マネジャーに求められる3つの能力ですが、これらは全ての社会人に共通するスキルの代表格として知られています。

テクニカルスキル(業務遂行能力)

担当する業務を遂行するための能力。コンピューターを操作するスキルや語学力といった能力も含まれる。

ヒューマンスキル(対人関係能力)

相手の意図を十分に理解して解決策を見いだせる力や、意見を相手に分かりやすく伝えるプレゼンテーション力など、円滑なコミュニケーションを行える能力。

コンセプチュアルスキル(概念化能力)

事象や状況を概念的、抽象的に捉える能力。この能力があれば、問題の本質を見極め、解決に導くことが可能になる。社内での階層が上になるほど重要度も高まる能力といえる。

人事部門としては、従業員にこの3つのスキルを総合的に高めてもらうのが理想ですが、それが難しい場合には、まずは個人が得意とする点、あるいは業務で必要な点からなど、段階的に伸ばしていくことを考えましょう。

企業が提供するスキルアップ方法

企業が従業員に提供するスキルアップの機会は、主にOJTとOff-JTに分けられます。Off-JTには、従業員が個別に取り組む通信教育やeラーニングなども含まれます。

OJT

職場の上司や先輩が、実務経験を通して業務を教える方法です。教育を受ける従業員は、分からない点をその場ですぐに聞けるメリットがあり、即戦力の人材を育成できるため、多くの企業で取り入れられています。高い視点を持つ上司や優秀な先輩であれば、学べることはより多くなるでしょう。

また、実務経験を通して多くのトライアンドエラーを繰り返すことで、実践的なスキルの習得につながりやすい方法だといえます。

Off-JT

職場を離れて行う教育のことです。例えば、社内外の講師によるセミナーや研修などもその一つで、参加者に一斉に同じ内容を教えられる点で、効率性が高い点といえます。

職場では学べないようなスキルを身に付けるには有益な方法ですが、学んだことを実際の業務に生かしてもらえなければ教育に要したコストに見合わないため、内容については慎重に検討すべきでしょう。

通信教育やeラーニング

セミナーなどで同じ時間・場所に人を集めるのが難しい場合には、各自が都合の良い時間・場所で学べる通信教育やeラーニングもオススメです。これらの方法なら、個人のペースで自由に学習が可能で、理解が不十分だと思えば同じ内容を繰り返し学習することもできます。

資格取得

資格の取得に挑戦させる方法も有意義でしょう。スキルアップを目的とする場合、知識を増やし、理解を深めることに意味があるため、合格や資格取得ばかりが目的にならないように注意が必要です。

ゼネラリストとスペシャリストの違い

キャリアアップには、大きく分けて「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」という観点が欠かせません。というのは、企業として従業員をどちらに育成したいのかによって、伸ばすべきスキルや取り組み方が異なるからです。

ゼネラリストには広く関連スキルを修得させる

全般的な知識や能力を持つ人材をゼネラリストといいます。ゼネラリストは担当部署のマネジメントも経験し、所属長などの役職や管理職を目指していく人たちです。特定のスキルに特化せず、多くの関連スキルを修得し広い視野を持つことで、事業全体の成果を創出することがが期待されます。

スペシャリストは特定のスキルを極めることが必須

特定の業務に特化した人材をスペシャリストといいます。営業や経理のスペシャリストなど特定の職種を極めた人材のほか、例えば○○に関する交渉を任せるならあの社員というように細かい業務のスキルを極める人材もいます。

ゼネラリストとは異なり、スペシャリストの育成では特定の業務を極めることが目標となり、その分野でなくてはならない存在になるのが理想です。

ゼネラリストとスペシャリストでは修得するスキルやその範囲は異りますが、いずれも高いスキルが求められます。どちらも、従業員がしっかりスキルアップをし、必要不可欠な人材として活躍することが、事業を成功させ、企業の価値を高めることにつながるのです。

キャリアアップに結び付くスキルアップが理想

スキルアップとキャリアアップはそれぞれ異なる意義を持ちながら、相関関係にもあります。

従業員が高度なスキルを身に付けると可能性が広がり、本人の自信にもつながります。その結果、モチベーションがアップし、より高いレベルの仕事にトライしたくなるでしょう。結果的に、会社に活気が生まれ、会社の業績向上にもつながります。

従業員のスキルアップは最終的には個々のやる気や能力にかかっているともいえますが、会社や人事部門のサポートは欠かせません。それぞれの従業員の強みや弱点などを冷静に分析し、企業にとって必要な能力を身に付けてもらうことが重要です。そのためには、社内研修や各種のセミナー、通信教育、eラーニングなどの機会を従業員に提供し、企業としてバックアップすることが大切です。

 

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