集客とマーケティングの関係性について

集客とマーケティングの関係性について

マーケティング・販促

「集客」「マーケティング」について、意味は明確に違うのに曖昧に用いられたり、違いがよく分からないという声が聞かれたりします。いずれも最終目的は売上の向上にありますが、一般的に「集客」のほうが身近で理解しやすいためか、「集客」が、これと似ている「マーケティング」の意味に捉えられているケースも見受けられます。今回は、集客とマーケティングの意味や関係性について考察します。

SPvideo_banner_H800pixXW142pix_01.jpg

 

集客とは

集客とは、一般的に顧客を集めるシステムづくりのことを指します。すでに自社の商品やサービスが決まっていて、それらのプロモーション活動の一環として集客を捉えるケースが通常です。集客は、商品やサービスがすでに存在している状態で、取り組むものです。

 

マーケティングとは

一方で、マーケティングとは、事業を成功に導くためのプランづくりとその最適化のことです。具体的には、商品やサービスについての発想やアイデアを生むことに始まり、提供する価格の設定や、売れる市場をどう選び、どうすればより売れるのかを考えることまでを指します。また、これらを実現するための市場調査なども含まれます。

 

集客とマーケティングの違いは?

集客は、すでに存在する自社の商品やサービスを顧客に浸透させるための手法です。どのようなメッセージを、顧客にどうやって伝えるべきなのかといった情報発信の方法を改善することが中心になります。

一方、マーケティングでは、商品やサービスそのものも含めて改善することで、シェア拡大につなげようとすることです。マーケティングという仕組みの中に、集客が含まれているといえるでしょう。

そして、マーケティングが目指すところは時代の流れとともに変わってきています。

 

マーケティングは時代背景で変遷

アメリカの経営学者で、マーケティングの世界的な権威であるフィリップ・コトラー氏は、マーケティングは次のような過程を経てきたと説いています。

製品中心(1900~1960年代頃)

モノが足りず、生産すれば売れた時代には、生産が需要に追いつきませんでした。製品を生産すれば売上につながり、この段階では生産者だけではなく、流通業者や小売店まで儲かる状態でした。

消費者志向(1970~1980年代頃)

モノが豊富になってきて、顧客が複数の選択肢から商品やサービスを選べる時代になりました。とはいえ、まだ、消費者に適切なメッセージを発信すれば自社の商品やサービスが選ばれる可能性が十分にあったので、集客さえすれば売れる時代だったといえます。

価値主導(1990~2000年代頃)

この時代には、消費者や顧客が、企業がどのようなビジョンを持って商品やサービスを生み出しているのか、その商品やサービスは社会や環境にとってどのような価値があるのか、といったことを考えるようになりました。

コトラーはこの時代について、「顧客がマインドとハートと精神(スピリット)を持つ全人的存在へと変化している」と指摘し、さらに、「マーケティングの未来は、人間的価値を支持し、表現する商品やサービスや企業文化を生み出すことにある」と主張しています。

自己実現(2010年代頃~)

「こうありたい」という人々の欲求を満たす商品やサービスが求められる時代に突入しました。顧客のニーズを踏まえて商品やサービスを開発し、魅力や価値を高めて他社と大きく差別化できなければ、評価されにくくなってきています。

今や小手先だけの差別化では通用せず、商品やサービスによっては、時代の流れを見ながら常にアップデートが必要となる厳しい環境です。

 

拡大する集客の意味とマーケティング

かつて「集客」という言葉は、「顧客集め」程度の意味合いで用いられていました。しかし現代では、集客の意味は拡大してきています。

現代のようにモノやコトなどが豊富な時代になると、選択肢があふれ、購入の主導権は顧客側に移りました。商品やサービスに大きな違いがなければ、「顧客集め」をしようとしても他社のより安い価格になびいてしまうのは当然の消費者行動といえます。

「自己実現」の時代に突入した現在は、魅力や価値が十分とはいえない商品やサービスの情報をいくら発信したところで、インターネット上の豊富な情報源によって目が肥えた顧客からは、良い反応がなかなか得られない時代なのです。

今では、集客のために商品やサービスの魅力・価値を高める必要性が非常に高くなってきています。そして商品やサービスを改善するためには、顧客の視点やマーケットのニーズなどについて調査を行うマーケティングが不可欠なのです。

このように、現在における集客は、従来の商品やサービスの存在を前提とするだけではなく、商品やサービス自体の改善やマーケットのことにまで及び、集客とマーケティングの意味合いはオーバーラップして用いられるケースが増えてきています。

 

集客とマーケティングが活きる商品づくりを

今では集客やマーケティングにはさまざまな手法がありますが、どのような手法を用いたとしても、商品やサービス自体が顧客の自己実現につながらないものであれば、リピーターにはなってもらえないでしょう。単なる「顧客集め」や目先の利益に振り回されないマーケティングを実現するためには、自社の提供する商品やサービスの品質・魅力こそが重要であることは忘れてはいけません。今の時代には切り離して考えることのできない「集客」と「マーケティング」。より優れた商品やサービスを生み出した上でこれらの施策を実施し、事業を成功に導きましょう。

集客やマーケティングのためのアイデアが欲しいときは

図書印刷では、斬新で新しい企画のアイデアを考えたいという時にご活用いただける、無料eBOOK「販促担当者のための 販促企画アイデア発想法3選」をご用意しています。「オズボーンのチェックリスト」や「シックスハット法」など、さまざまなアイデア発想法のフレームワークを紹介。どのようにアイデアをまとめていけばいいのかを分かりやすくまとめています。具体的なシナリオ例や流れも紹介していますので、自分に合うアイデア発想法を探し出すことができます。ぜひ、新しい集客方法のアイデア創出にお役立てください。

idea_ebook_bn_800x220.jpg

参考: