ケーススタディから学ぶエリアマーケティングの分析手法とポイント

マーケティング

売るための仕組みをセグメントごとに考えるのはマーケティングの基本ですが、そのなかでも地域という切り口で売れる仕組みを作るのがエリアマーケティングです。

店舗経営型のビジネスを営む人は、その地域の特色を分析することで、事業を戦略的に展開することができます。今回は、エリアマーケティングとは何かを解説するとともに、ケースごとに分析の手法やポイントを紹介しましょう。

エリアマーケティングとは何か

エリアマーケティングとは、マーケティング戦略の4P(Product/Price/Place/Promotion)のうち、Place(どこで誰に売るのか)に関わる戦略です。

実は、「エリアマーケティング」という言葉は和製英語です。日本では地域によって嗜好や文化がさまざまに異なるため、1960年代からエリアマーケティングという言葉が使われはじめ、独自の理論へと発展しました。

エリアマーケティングを活かせる業種

エリアマーケティングはリアル店舗を運営する幅広い業種に向いています。

その典型が小売業です。百貨店やスーパー、コンビニエンスストアのように多岐にわたる商品を取り扱う店から、ドラッグストアや家電量販店などの専門店まで、それぞれの地域の消費動向に合わせたビジネス展開が求められます。

小売業以外では、学習塾や保育園、フィットネスクラブなど、特定のターゲット層に対してサービスを提供する業種においても、地域ごとの特徴を把握するエリアマーケティングは重要となります。

エリアマーケティングはどんな場面で必要か

エリアマーケティングは、具体的に以下のような場面で活用されます。

店舗を新たに開設する場合

  • 開業にあたり、ビジネスチャンスの多い場所を探している
  • これまで出店していなかった地域に、新たに店舗を出店する

すでに店舗がある場合

  • 特定の地域においてどんな商品が売れるのかを調査したい
  • 地域ごとに営業スタイルや展示方法を変えて販売体制を強化したい
  • 商圏内の顧客に向けて効率よく宣伝をしたい

それでは、「店舗を新たに開設する場合」と「すでに店舗がある場合」に分けて、エリアマーケティングの流れを見ていきましょう。

店舗を新たに開設する場合のエリアマーケティング

店舗運営型のビジネスでは、店の立地がビジネスの成功を左右します。ひとたび出店すると簡単には移転できないため、新規に店舗を出す場合は、地域の特徴を分析したうえで慎重に場所を選ばなければなりません。

ここでは、「学習塾」の場合を例として、エリアマーケティングを実施する際の手法とポイントを見てみましょう。

1.ターゲット層はどこにいるか?

最初に考えるべきことは、サービスを必要としているターゲット層がどこにいるかです。

学習塾のターゲット層となるのは子どもです。子どもがどこの地域に多いかを調べる必要があります。学習塾と一口に言っても、大学受験に特化した塾であれば高校生の人口分布、小学生を対象とする塾であれば小学生の人口分布を調べ、どの地域で学習塾が必要とされるかを見極めましょう。

また、単に人口分布だけでなく、ターゲットの特性も含めて総合的に考える必要があります。

学習塾に通う子どもを持つ家庭はどんな家庭かを考慮しましょう。一般的に、親の世帯年収や学歴が高ければ子どもへの教育投資が高い傾向にあるため、年収別や最高学歴別の人口分布を調べることで、よりニーズの高いターゲット層が住んでいる場所に出店することができるでしょう。

2.将来的な市場性があるか?

店舗を同じ場所で長期的に運営することを目指すのであれば、ターゲット層の人口が今後どのように増減するかについても考慮する必要があります。過去の人口統計や将来の予測値、その地域の都市計画などを参考に、今後、その地域の子どもの人口がどのように増えていくのかなど、将来的な市場性を検証しましょう。

3.競合他社と自社の現状は?

次に、競合他社や自社の店舗の出店状況を見える化します。

競合の学習塾がどこで展開しているかを地図に落としこみます。自社の学習塾も既に近隣の地域で展開している場合は、自社の拠点も同じ地図上に示します。そして、その地域において、それぞれの学習塾がどの地域でどの程度市場シェアを持っているかを推測します。

4.強化するべきエリアはどこか?

市場の規模と現状の競合・自社の店舗展開状況を比較すると、市場性があるにもかかわらず店舗がないエリアや、競合他社との顧客獲得競争が激しいエリアなどが見えてきます。現状を把握したうえで、新たな学習塾を開設するのに最適な立地を選定しましょう。

すでに店舗がある場合のエリアマーケティング

エリアマーケティングは、すでに店舗を持つ経営者が地域ごとの販売や宣伝を考える場面でも有効です。ここでは、「百貨店」の場合を例として、、エリアマーケティングの手法とポイントを見ていきましょう。

1.商圏は適切か?

現状の店舗が集客できている範囲を見直し、商圏として捉えている範囲が適切か、さらに広げられる可能性はないかなどを検討する必要があります。競合する店舗の出店状況によっても、集客できる範囲は変わってきます。

百貨店の場合、日用品店とは異なり、こだわりの商品やサービスを求める消費者がターゲット層となるため、商圏は比較的広範囲にわたる傾向にありますが、競合となりうる他の小売店の立地を踏まえたうえで、商圏を見直しましょう。

2.顧客の特性は?

商圏内の顧客にはどの年代の人が多く、どのようなライフスタイルを送っている人が多いかを確認しましょう。出店時とは顧客の特性が変化している場合もありますので、定期的に見直す必要がありあます。ターゲットとなる顧客の特性に合わせて、取り扱う商品の選定や展示方法の工夫など、販売体制を整えることで売上の拡大につなげましょう。また、宣伝の方法についても、商圏内の顧客の特性に合わせてアプローチを変えることが重要です。

実際に各百貨店が顧客の特性に合わせてどのように商品展開や宣伝を行っているかを見てみます。

京王百貨店

客層に裕福なシニア世代が多い新宿の京王百貨店は、2016年12月、メインエントランス付近のショップを化粧品売り場から海外腕時計のロレックスへ変更しました。シニア世代に多いロレックスユーザーをターゲットにカスタマーサービスを充実させて来店の動機を作り、店舗全体での売上を伸ばすことが目的です。

高島屋

高島屋は、それぞれの店舗でSNSのアカウントを持ち、店舗ごとの顧客の嗜好に合わせて情報提供を行っています。また、大人の女性向けファッションやデニムのコーディネートなど、セレクトショップごとのInstagramも充実しています。

PARCO

若い世代の利用率が高いファッションビルのPARCOでは、自社アプリに顧客の位置情報を連携させ、GPS機能を利用したリアルタイムな宣伝を行っています。商圏内でアプリを閲覧した顧客に対してキャンペーンを告知するという手法は、スマートフォン時代ならではのエリアマーケティングです。

3.地域の特性は?

商圏内の地域の風習や自然環境も、エリアマーケティングには欠かせない要素です。

例えば結婚式の引出物は、地域によって内容や数、予算規模などが異なりますが、こういった地域の風習に精通するだけでなく、最近のトレンドも把握した上で、それに合わせた戦略が必要です。また、百貨店の場合、来客数は気候や天候にも左右されます。来客が少なくなるタイミングを分析し、催し物やキャンペーンなどの集客施策を行う必要があるでしょう。

4.競合他社の戦略は?

さらに、競合他社がどのような戦略をとっているかを調べることも自社のマーケティングのヒントになります。競合の百貨店の取り扱い商品や営業時間、催し物の内容や宣伝方法など、多角的な視点で分析しましょう。

まとめ

消費者のニーズが多様化する時代において、すべての消費者に対して同じマーケティングを行っていては効果を得ることはできません。店舗を通してサービス・製品を提供する企業にとっては、エリアマーケティングによりターゲットを特定した戦略を立てることでビジネスが成功に近付くでしょう。

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参考:

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