昇格試験はなぜ必要か?目的と種類、導入のポイントを解説

人事・総務

企業において、マネジメントに関わる人材の能力はとても重要です。良きプレイヤーが良きマネジャーであるとは限らないため、管理職にはマネジメント適性のある人材を選定する必要があります。多くの企業では、主任、係長クラスまでは推薦のみで昇格させても、課長クラス以上の選抜には昇格試験を設けています。この記事では昇格試験の目的、種類、導入のポイントについて説明します。

昇格試験の目的は「人材の見極め」

昇格試験の目的は、管理職に適した「人材の見極め」です。また、「社員育成」、「公平性の担保」という目的も併せ持ちます。スタッフ、マネージャー、ゼネラルマネージャーの役割はそれぞれ大きく違うもの。単に現職位で優秀な人材を昇格させればよいというものではありません。面接、適性テスト、筆記テスト、小論文など多角的な面から評価する必要があります。
昇格基準を「実務の評価」と「テストの成績」にすることで、一部の上司の恣意(しい)的な評価による昇格を防ぐことができ、公平性が担保できます。たとえ昇格試験に落ちた場合でも、客観的な指標から自分に足りない面を自覚できるため、試験自体が成長を促す機会となります。

以上を踏まえると、昇格試験の主な目的は以下のようになります。

1.管理職の適性がある人材の見極め
2.本人に成長の機会を与える
3.公平性の担保

昇格試験は面接、小論文、適性検査が基本

昇格試験は客観的にその人物を判断できるテストが望ましいため、専門知識や一般常識などを確認する試験以外に、管理職としての適性を判定するための適性検査を利用するのが一般的です。面接、小論文、適性検査を課すことで多方面から候補者の資質を判断できます。また、近年はグローバル化を背景に昇格基準にTOEICのスコアを設定する企業も増えています。各テストを実施する際のポイントやメリットを説明します。

面接のポイントやメリット

面接では、その人の現在の能力ではなく、上位職に就いたときに能力を発揮できるか確認することがポイントです。多方面から質問することで、マネジメント力、部下へのコーチング力、事業への理解度、経営的な視点があるかなどを判断することができます。

小論文のポイントやメリット

小論文では、問題把握能力と論理的思考力を判断できるテーマを課題にすることがポイントです。テーマに沿って論理的な文章を書けるか否かは、相手の意図を理解して問題解決を行うビジネスに直結する重要な能力。候補者がロジカルシンキングをできるタイプかどうか見抜くことができます。また、テーマによりその人間の視野の広さが測れるメリットもあります。

適性検査のポイントやメリット

適性検査は事前対策のできないテストを採択することがポイントです。外部の専門機関のテストを使うことで、その人が本来持っているコミュニケーションタイプ、ストレス耐性、マネジメント適性、リーダーシップ度などを判別することができます。

語学試験のポイントやメリット

TOEICなどの語学試験を導入する際は、ポジションや部署により基準スコアを変えることがポイントです。今後、グローバル化はさらに進み、国内の部署でも外国人社員が増加する可能性があります。昇格試験に語学試験を導入すると、社員のグローバル化に対する意識を高めることができます。

昇格試験のポイントは「人材要件の明確化」

昇格基準は社内で公開されていないのが一般的です。そのため、営業成績が上位でも管理職になれず、本人も周りも不思議に思うようなケースが発生することがあります。昇格試験を実施する際は、直属の上司に対しては昇格に伴う人材要件をある程度明確にし、対象者を指導できるようにすることと、試験に落ちた場合も対象者にフィードバックさせることがポイントです。マネジメント能力はある程度まで努力で身に付くスキル。ブラックボックスにせず公開することで社員の成長を促すこともできます。

マネージャーの人材要件例

プレイヤーである一般社員とは異なり、管理職は、部下が働きやすい環境を整え、モチベーションを上げ、チームの生産性を高めていくことが仕事です。各メンバーの能力を把握し、コミュニケーションを取りながら育成する力、チームリーダーとして目標達成する力、現場をまとめる力が必要です。

  • メンバーを率いるリーダーシップ
  • 部下の適性を把握し育成する能力
  • 課の目標を達成する能力

ゼネラルマネージャーの人材要件例

ゼネラルマネージャーとなると経営的な視座も必要になります。業界の将来を見据え戦略を構築する能力、意思決定能力、成果を出す力など、いわばその事業部の“経営者”としての資質が必要です。

  • 部門のトップとして意思決定ができるリーダーシップ
  • 他部門と連携し利害関係を調整しながら業務を推進する実行力
  • マネージャーをマネジメントしながら業績目標を達成する力
  • 経営的な視点から事業戦略を立てる能力

昇格試験の面接で聞く質問例

面接では、その人材が管理職に昇格したときに成果を出せるか、ストレスに耐えられるか、部下を育成できるかなどを見極めるために、いろいろな角度から質問をする必要があります。以下に挙げる質問の例とその意図を参考に、面接官側も事前に質問を準備しておくとよいでしょう。

1.これまでの仕事でどのような貢献をしてきたか?

本人の仕事に対する意識と取り組み方を確認するための質問です。本人が自分で考え試行錯誤し、トライしながら成果を上げてきたのか、周囲のアシストが大きかったのかなどが分かります。

2.これまでどのような仕事上の壁にぶつかり、どう乗り越えてきたか?

困難な事態が起きたときの問題解決能力が分かります。また、ネガティブな環境下でのメンタル傾向も把握できます。不測の事態に強い人材か否かが判別できます。

3.昇格後どのように仕事に取り組みたいか? 3年後のビジョン、5年後のビジョンなど

自分のキャリアや部署の仕事を真剣に考えているかが判断できます。答える内容により、視野の広さ、向上心、現在の部門への貢献意欲も分かります。

4.部下をどのようにマネジメントしていきたいか?

他人への関心やマネジメントに対するスタンスが分かります。一人ひとりの適性を把握するタイプか、公平さはあるか、部下に対してワンマンか、逆に強く出ることができないタイプかなど、上司としてのコミュニケーションタイプをうかがうことができます。

5.部下がセクハラのような不祥事を起こしたらどうするか?

トラブル対応能力が分かります。ハラスメントは非常に判断が難しい問題。片側の情報をうのみにせず調べる慎重さ、それを客観的に判断できる能力、部下に対してハラスメントの概念を説明し理解させる指導力が必要です。ハラスメントに対する理解度も分かります。

6.現在の職場の問題点は何か? それをどのように解決できると考えるか?

健全な問題意識を持っているか、それを自分で解決していこうとする人材かが分かる質問です。管理職に適した人材であれば「どうにかしてほしい」でなく、「自分ならこのように解決したい」という提案ができるはずです。

7.業界の状況と企業の方向性についての自分なりの意見

管理職は経営的視点を持っている必要があります。この質問により、業界・企業を取り巻く環境についての理解力がどの程度か、自社の将来を真剣に考えているかが分かります。

まとめ

企業において管理職の果たす役割は非常に大きいため、マネジメントに適した人材を選定する昇格試験は大きな意味を持ちます。また、社員から見れば昇格はビジネスマンとしての成果やモチベーションに関わるため、やはり大きな意味があります。故に昇格試験は公平な指標を用いることがポイントです。それが社員の成長にもつながります。

 

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