労働生産性とは?計算法や生産性向上のためのポイントを知ろう

人事・総務

少子高齢化時代を迎え、日本は深刻な労働力不足に直面しています。そのなかで注目されているのが、労働生産性の向上です。安倍政権でも働き方改革の一環として、労働生産性の向上が推進されています。

今回は労働生産性とは何か、その定義と計算方法について、また、労働生産性の向上が唱えられる理由と、労働生産性向上を実現するためのポイントについてご説明したいと思います。

労働生産性とは?定義と計算方法

ここではまず、そもそも「生産性」とは何かについてご説明し、そのうえで労働生産性の定義と計算方法について説明します。

生産性とは?

生産性とは、投入に対してどれだけ産出できたかを示すもので、以下のように計算されます。

◆  生産性=output(産出)÷input(投入)

output(産出)には「生産量」や「付加価値」などが入り、input(投入)には「設備」や「労働力」などが入ります。input(投入)に対してoutput(産出)が多いほど、生産性が高いということになります。

生産性は、企業が投入した労働力や設備などをどれだけ効果的に活用でき、どれだけの成果を産出できたかを知る目安となります。

労働生産性とは?

労働生産性とは、input(投入)のうち、「労働力」に注目したものです。

「労働者1人当たりで生み出す成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの」(公益財団法人 日本生産性本部)と定義され、労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを見ることができます。

労働生産性の計算方法は、以下の通りです。

  労働生産性=output「生産量または付加価値」÷input「労働者数または労働者数×労働時間」

「1人当たり」の労働生産性が知りたい場合にはinput=「労働者数」となり、「1時間当たり」の労働生産性が知りたい場合にはinput=「労働者数×労働時間」となります。

労働生産性の向上が唱えられる3つの理由

ではなぜ、現在これほど労働生産性の向上が唱えられているのでしょうか。その理由は大きく3つあります。

1.国際社会における競争力強化の必要性

「労働生産性の国際比較2017年版(PDF)」(公益財団法人 日本生産性本部)によると、日本の時間当たりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中20位で、主要先進7カ国の中では最下位になります。

また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)による「世界競争力ランキング」では、日本は1989年から1992年までトップであったものの、2000年あたりから20位台にとどまっており、2017年も26位でした。

この結果を併せて考えると、日本は国際社会での競争力を強化する必要があり、政府も名目GDP600兆円の実現を目指して、「労働生産性の向上」を唱えているのです。

2.少子高齢化による人材不足

少子高齢化による人材不足により、企業は少ない労働力で成果を出すことが求められてきています。人材不足を補うためには、これまでの業務を見直して無駄な部分を取り除く必要があります。また、一人ひとりが効率的に働き、より付加価値の高い商品・サービスを生み出していく、という労働生産性の向上が必須となります。

3.収益率の向上と資金投資

労働生産性が向上すれば、収益率が上がり、利益が出ます。それを資金として、設備や人、新たなビジネスに投資をすることができます。投資により新たな利益が生まれ、給与の増額により従業員のモチベーションも上がって……というふうによい循環が実現され、優秀な人材の確保や定着も可能になります。

労働生産性を向上させるためのポイント

それでは、労働生産性を向上させるには、何をどのようにしたらよいのでしょうか。具体的な取り組みに当たって気を付けるべきポイントについて、企業側と従業員側それぞれで押さえておきましょう。

企業側のポイント

●経営者主導の取り組み

個々の従業員が労働生産性を上げようといかに努力しても、制度や周りの人間との関わり、慣習的な仕事の進め方などのために、できることには限界があります。経営者が自ら関わり、労働生産性の向上を経営者主導で進めていくことが大切です。

●設備投資と先端技術の利用

労働生産性を向上させるためには、新たな設備投資を行ったり、先端の技術を利用して業務の効率化を図ったりすることが求められます。製品を作るための機械を新しくするというだけではなく、例えば従業員の勤怠や給与、あるいは製造のスケジュールなどを管理するシステムを利用するのも、業務の効率化につながります。

●自社のサービス・商品の付加価値向上

これまでは業務効率化ばかりに注目が集まっていましたが、労働生産性を向上させるために一番大切なのは、outputの付加価値を向上させることです。顧客に求められる新しいサービス・商品を開発することで、企業の収益が上がり、その結果労働生産性も上がっていきます。

●人材の育成と能力開発

付加価値向上を目指すのであれば、それを作り出すための人材の育成と能力開発が必要です。

従業員が実際の業務に必要な専門技術をはじめ、コミュニケーション術や課題解決術、健康管理術など、業務を円滑に進めるための技術を習得できるよう、積極的にあと押しすることが大切です。

また、従業員がモチベーションや集中力を持って能力を最大限に発揮できるように、長時間労働の改善や、給与や福利厚生の充実なども進めていく必要があります。

従業員側のポイント

●業務の効率化

労働生産性を向上させるには、まず業務全体を見直し、無駄な部分を省くことが大切です。不要な会議を行っていないか、他部署とのコミュニケーション不足のために無駄な時間がかかっていないかなど、従業員が慣習的に行っている業務をあらためて見直させる必要があります。

●個々のタスクの「見える化」

個々の従業員のタスクを「見える化」して管理・共有させることで、従業員は業務の進行を自ら把握しやすくなり、周囲からアドバイスを受けたり、ほかの人に仕事を引き継いだりすることも容易になります。

●集中力を高める工夫

業務の効率を高め、付加価値の高い商品・サービスを作り出していくためには、集中力を高めることが必要になります。組織内でのルールとして、特定の業務中は一切電話に出ず、周りの社員がサポートするとか、1日1回「集中タイム」を設定するなど、具体的に実施している企業もあります。また、従業員が心身のコンディションを整えて仕事に集中できるようにする必要もあります。従業員が自ら健康管理に気を配り、休憩中にストレッチをしたり仮眠をとったりすることなどは効果的な工夫といえます。

まとめ

企業が将来にわたって成長していくためには、労働生産性を向上させることが不可欠になります。経営者主導のもと、最新技術の活用や設備への投資、積極的な人材の育成や能力開発により、従業員が最大限の力を発揮し、付加価値の高い商品・サービスを開発していけるような環境を整えていきたいですね。

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