ワーク・ライフ・バランスとは?その意味やポイント、企業の取り組み例を紹介

人事・総務

少子高齢化やグローバル化、最新技術の発達など、企業を取り巻く環境が大きく変化している現在、どの企業においても、時代に即した新しい働き方が模索されています。

そのような取り組みのなかでキーワードとなるのが、「ワーク・ライフ・バランス」です。
今回は、ワーク・ライフ・バランスの意味や実施のポイント、また優れた取り組みを行っている企業の事例を紹介します。

ワーク・ライフ・バランスとは?

最初にワーク・ライフ・バランスの意味と、政府の取り組みや働き方改革との関係について説明します。

ワーク・ライフ・バランスの意味

ワーク・ライフ・バランスとは、文字通り「ワーク(仕事)とライフ(生活)のバランス(調和)が取れた状態」のことを言います。

ワーク・ライフ・バランスという言葉が出始めたのは、育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法などが施行された、2000年代後半のことです。
当初は、働く女性が「育児」や「介護」をしながらもキャリアを断念しなくてすむように、という女性支援の意味で使われていました。

しかし近年の少子高齢化やグローバル化、ICT技術の急速な展開などにより、どの企業においても、女性に限らず男性も含めた社員一人ひとりの働き方について、見直さなければいけない状況になってきています。

そのため現在では、ワーク・ライフ・バランスとは性別を問わず、個人が仕事と仕事以外の生活の場でうまくバランスをとり、人生のさまざまなステージで充実した生き方ができるという状態を意味するようになってきています。

政府の取り組みと働き方改革との関係

政府は「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」の中で、「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として、以下の項目を挙げています。

  • 就労による経済的自立が可能な社会(正規雇用への移行が可能な制度作り、公正な処遇や積極的な能力開発など)
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会(長時間労働の改善、有給休暇の取得促進など)
  • 多様な働き方・生き方が選択できる社会(女性や高齢者の活用、男性の育児への関わり推進など)

また、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の中で、2020年までに達成すべき項目として、以下のようなものを挙げています。

  • 週労働時間60時間以上の雇用者の割合を8.2%から5%に削減
  • 年次有給休暇取得率を47.6%から70%に増加
  • 男性の育休取得率を2.3%から13%に増加

現在政府が推進している働き方改革の中でも、企業は「仕事と生活の調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備に努めなければならない」としています(引用:働き方改革を推進するための雇用対策法の改正について(概要案)(PDF) | 厚生労働省)。

つまり働き方改革には、ワーク・ライフ・バランスの実現が不可欠なのです。

ワーク・ライフ・バランス実施のための4つのポイント

それでは、ワーク・ライフ・バランスが優れた企業を目指すうえで、どのようなことがポイントになるのでしょうか。重要なポイントを4つ紹介します。

1.   柔軟な働き方を支える制度作り

出産や育児、介護など、人生のそれぞれのステージでワーク・ライフ・バランスを実現できるように、育児・介護休業、短時間勤務、フレックス、テレワークなど、柔軟な働き方を支える制度を作る必要があります。
また、これらの制度を女性だけでなく、男性も積極的に利用できるように働きかけることも大切です。

2.   経営トップによる職場風土改革

ワーク・ライフ・バランスの実現には、柔軟な働き方を支える制度を作ると同時に、社員が実際にその制度を利用しやすい雰囲気を作ることも重要です。

そのためには経営トップが先頭に立って、全社を挙げて取り組む姿勢を見せ、社員が本気でワーク・ライフ・バランスの実現に向かって動いていくように、職場の風土改革を行う必要があります。

3.   労使で協力した取り組み

ワーク・ライフ・バランスが実現する体制を作るためには、労使で協力した取り組みが大切です。
多くの企業で問題になっている長時間労働の改善や、生産性の向上、雇用管理制度の改革など、職場の現状を把握したうえで、労使が一体となって取り組んでいくことが必要です。

4.   多様な働き方に合わせた人事評価制度

短時間勤務、テレワークなど多様な働き方を可能にするためには、それに合わせた人事評価制度を整える必要があります。
昇給、昇格やその他の人事評価について、短時間勤務や休業などの制度を利用した場合の評価基準を整えることにより、社員が安心して各種制度を利用し、ワーク・ライフ・バランスを実現していくことができるのです。

ワーク・ライフ・バランスの取り組み事例

それではここで、ワーク・ライフ・バランスに優れた取り組みを見せる企業の事例を3つ、紹介します。

1.逆境をチャンスに!「誰がみてもわかるマニュアル」で働きやすい環境を実現:第一生命

同社では、3つの部署がひとつに統合され人員削減が行われたのをきっかけに、業務のあり方が見直されました。
社員が主体となって業務の能率を上げる工夫をした結果、メリハリのある働き方が実現し、結婚・出産後も働きやすい環境が整いました。以下にポイントをまとめました。

  • 「誰が見てもわかるマニュアル」
    部署の統合により、各部署で別々に行っていた作業をひとりで一貫して担当することになったため、未経験の仕事に対応できるように、「誰が見てもわかるマニュアル」が作成された。経験者がマニュアルを作ると初心者には分かりにくいこともあるため、このマニュアルは初心者が中心となって作成した。

  • 「ガンバルタイム」
    社員へのヒアリングを行ったとき、書類の最終チェックのような間違えてはいけない業務の間に電話などで邪魔が入ると効率が悪い、という意見が多く出た。そこから、集中して業務をしたいときには、自分の席に「ガンバルタイム」という札を置き、特別な事務処理スペースで1時間ほど作業するという制度を設けた。

  • 「業務の共有化」
    従来は契約書類などを個人で管理していたため、個々の担当業務は「その人でなければ分からない」状況だった。そこで、担当者が不在の際にも周囲がフォローしやすいように、共有のキャビネットで書類を管理し、誰もが業務の進行状態を把握できるようにした。

2.大胆なテレワークの導入で、育児・介護中でも継続勤務:アズテック

アズテックでは、「仕事を続けたい」という社員の願いと、「長く勤めてもらいたい、優秀な人材を確保していたい」という会社の願いの両方をかなえるため、テレワークを導入し、仕事と生活を両立できる「働きやすい会社」を実現しました。
育児休業取得後の復職率は100%で、将来的にはテレワークによる、海外の優秀な人物の活用も視野に入れています。

入社後1年の見極め期間を経て、業務を自己完結できると認められた社員は、会社との間で「在宅勤務に関する覚書」を原則1年単位で締結。
「完全在宅勤務」「部分在宅勤務」を問わず、期間も数日から1年(更新可)で自由に設定できます。
現在、結婚・傷病による通勤困難者のほか、小学6年生までの育児従事者、家族の介護などさまざまな理由で利用されています。
セキュリティー確保ができれば、自宅以外(介護先等)でも勤務可能です。

特許・技術文献の調査という、顧客の機密情報を扱う業務のため、専門の在宅勤務システムを利用した高度なセキュリティー体制を取っています。
なお、テレワークを行っている間は、ビデオ通話やグループウェアで情報の共有を図っています。

3.産前から産後まで、働くママに優しいサポート:サントリーグループ

同社では、少子高齢化問題には社会全体で取り組まなければいけない、との認識のもと、社員が生き生きと働き続けられるように各種の取り組みを行っています。

  • フレックス勤務のコアタイム廃止
    深夜以外、5:00~22:00の間で勤務時間を自由に設定できる。

  • テレワーク勤務の対象拡大・10分単位で取得可能に
    2017年には利用者が4,845名(社員の約8割)。

  • 男性の育休取得促進を目指し、育児休職の一部(休職開始から連続5日間)を有給化
    2017年の育児休職取得率は女性が100%(183名)、男性が36%(156名)。年々男性の取得者が増えている。

  • 育児期におけるサポートの充実
    法人契約ベビーシッター費用補助、病気や緊急時のサポート、産休育休前・中・後にわたる、スムーズな復職に向けた情報提供といったサポート。

  • ジョブリターン制度
    勤続3年以上で退職時に登録した者は、再雇用の対象となる。子ども(退職理由の子どもに限らない)が小学校に入学するまで(最長10年)。

  • 介護に関する制度を充実
    ホームヘルパー利用補助、通院の付き添いのための有給休暇、介護ハンドブックの作成や介護セミナーの開催。

まとめ

人生の各ステージで、誰もが状況に応じて多様な働き方ができ、仕事と生活の両方において充実感を感じることができる――。それが、ワーク・ライフ・バランスの目指すところです。
少子高齢化時代で人材の活用が大きな課題となるなか、ワーク・ライフ・バランスを推進することで、さまざまな背景を持った人が生き生きと働けるような環境を作っていきたいですね。

 

参考:

検索