ビジネスのグローバル化、労働人口の減少、AI(人工知能)の登場……。近年は「VUCAの時代」といわれるほど、めまぐるしくビジネス環境が変化しています。「VUCA」とはVolatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなげたもので、予想不可能な現代の特徴を表しています。
それでは、このような時代には、どのような人材が必要になるのでしょうか? また企業は優秀な人材をどのように育成すればよいのでしょうか? これからの時代に即した人材育成の目標、手法について紹介します。
人材育成の目的とは、企業の持続的成長のために社員の能力を最大化することです。社員の成長こそが優れた事業戦略、プロダクトの開発、生産性の向上につながります。また、人材育成に投資することは社員の企業に対するエンゲージメントを高めることになり、人材流出の歯止めにもなります。
VUCAの時代にはビジネス環境の変化に合わせたスピーディーな判断が求められます。例えば、近年のヒット商品のサイクルは短く、すぐに新しいモデルが登場します。また、大手企業が主力事業から撤退するニュースも少なくありません。どんな業界・企業にとっても予測が難しい時代に突入していると言えます。
ただし、逆の見方をすれば、ビジネス環境の変化をいち早くキャッチし、戦略を実行できる企業にとっては大きなチャンスがあると言えます。
このような時代には、ビジネスの本質を理解し、先見性に優れ、不測の事態に際しても自分で判断・実行できる人材が必要になります。環境がどのように変化するかはなかなか予測できないため、常に新しい知識を学び続け、環境の変化に合わせ成長していける人材を育てていく必要があります。企業にとってこのような人材を育成することの重要度はますます増していくでしょう。
人材育成には、おもにOJT(On The Job Training)、OFF-JT(Off The Job Training)、自己啓発支援の3つの手法があります。それぞれにメリットやデメリットがありますので、バランスよく組み合わせて導入する必要があります。
OJTとは、現場の仕事を通して社員を育成する手法です。職場に配属後、その部署の先輩社員あるいは上司が指導するスタイルです。指導者が内容を説明し、実際に手本を見せ、社員に取り組ませ、フィードバックするというサイクルで行われます。
OFF-JTとは、業務上の許可のもと職場を一時的に離れて行う教育訓練(研修)のことを言います。
新入社員教育・管理職研修などの階層別研修、IT研修のようなスキル取得型研修、メンタルヘルス研修・コンプライアンス研修などナレッジ学習型の研修があります。集合研修型、通信教育、eラーニングなど研修内容にマッチした学習形態を選択することができる点がOJTとの違いです。
企業が、業務上必要な知識を身に付ける社員を支援する仕組みです。
語学学校の無料受講、業務上必要な資格取得費補助、eラーニングの受講費用負担、業務に必要な図書費負担などが一般的です。なかには業務時間の何割かを自己啓発や自由研究に充てる仕組みや、自己啓発休暇が取れる仕組みを導入しているユニークな企業も存在します。
近年、グローバル化に対応できる人材育成に力を入れる企業は増えています。また、VUCA時代に対応できるリーダー育成研修、少子化を踏まえ、さらなる女性活用を目指す女性管理職育成研修も増えつつあります。
単なる講義型の研修ではなく、体験や学習を通じ意識改革を促すタイプの研修がトレンドです。時代の大きな変化に合わせ、集合型研修のスタイルも変わり始めていると言えるでしょう。
ITネットワークの普及によりeラーニング導入に積極的な企業も増加中です。スマートフォンを利用した「モバイルラーニング」も浸透しつつあり、特に若い世代向けの教育手法として期待されています。
ITネットワーク環境の普及により、近年のeラーニングは、語学、IT、経営、MBAメソッド、メンタルヘルス、コンプライアンスなど多彩なカリキュラム受講が可能です。
以前は福利厚生の一環という位置づけであったeラーニングを、本格的な人材育成目的に導入する企業が増えています。
近年、注目を集めているeラーニングでは、場所や時間の制限がなく、講師・受講者双方にとってさまざまなメリットがあります。
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変化の激しい時代には、変化に対応できる人材が必要になります。ビジネス環境の変化をキャッチし、必要な知識を自ら積極的に学んでいく能力こそが、今後のビジネスマンに必要なスキルです。
企業はOJT、OFF-JT、自己啓発支援など、社員が成長する機会や場を提供していくことが大切です。急激な変化が予測されているVUCA時代においては、優秀な人材をどれだけ擁しているかがビジネスの成否を大きく左右すると言えるでしょう。
参考: