どんなに毎日忙しく過ごしている人でも、一日のなかには「とりあえずすることがない」という短い時間があるはずです。そうした時間をぼんやり過ごす、何となくスマートフォンを眺めているという人も多いでしょう。しかしわずかな「隙間時間」こそ、貴重な学習時間に変えられます。今回は、社会人が隙間時間を活用して勉強することのメリットや効果的な勉強のコツ、方法を解説します。
まず、社会人の隙間時間はどれくらいあるのか、どんなシーンで隙間時間が発生しているのかを紹介します。
2014年に行われたパナソニック株式会社の調査(※)では、現代の社会人の生活では、1日に平均1時間9分の隙間時間があるという結果が出ています。
※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000001409.html
では、「隙間時間」はどのようなときに生じているのでしょう? 次のような場面が例として挙げられます。
また、身体は使っていても思考はできるという意味では、入浴中や家事、ウォーキングやトレーニングをしているとき、散歩中などの場面にも隙間時間を見つけることができます。
前述のパナソニックの調査によれば、このような隙間時間を「ムダにしてしまったことがある」という人は全体の約8割。その一方で、隙間時間を「自分ひとりの大切な自由時間=“自分時間”に変えることができる」と考えている人も約8割に上ります。
この調査で興味深いのは、隙間時間を活用している人の方が、活用できていない人よりも幸福度が高い傾向があることです。隙間時間を貴重な自分時間として上手に活用できると、日々の生活がより充実したものになり、幸福度の上昇につながるのかもしれません。
隙間時間を活用して勉強をしている社会人は大勢います。隙間時間の勉強は効果が上がりやすく、生活のリズムをあまり変えずに取り組めるからです。その具体的なメリットを紹介しましょう。
仕事や家事などの合間に行う勉強では、一度に多くの分量をこなすことはできません。そのため、一度の勉強の範囲や目標は、自然に小さく設定することになります。1回分は小さなタスクをこなすだけなので、気負わずに取り掛かることができ、その都度、達成感を得られることから継続がしやすくなります。
長時間、集中力を保つのは難しいものです。隙間時間の学習は短い時間で区切って行うため、途中で飽きることなく集中力が維持できます。長くダラダラ勉強するよりも、短時間に集中して行う方が、効率がいいのです。
勉強を始めるというと、生活時間のなかから勉強の時間を捻出しなければならないと思いがちです。しかし、隙間時間の勉強はもともと空いていた時間を活用するものです。そのため、家族との時間や趣味の時間を削る必要がありません。自分の生活リズムを大きく変えることなく、新しいことに取り組むことができます。
限られた時間をもっと有効に活用する勉強のコツを知れば、さらに成果を上げやすくなります。隙間時間を使って効率的に勉強するためのコツや方法を紹介しましょう。
インターリービング(Interleaving)とは、異なる内容の作業を交互にこなすことを言い、もともとはコンピューターにわざと不連続なデータを扱わせて性能を上げていくテクニックを指す言葉です。これを学びに応用したのがインターリービング学習です。ずっと同じ勉強を続けるのではなく、別の種類の勉強をはさむことにより、学習効果が向上します。
例えば、英語学習には単語、文法、読解、リーディング、ヒアリングなどの種類があります。これらを分散して学んだ方が、文法だけ、ヒアリングだけを勉強するより、早く英語を身に付けることができるのです。
隙間時間にはいろいろな長さやシチュエーションがあるため、このようなインターリービング学習に適しています。
例えば、まとまった時間が取れる昼休みには「参考書を読む」、ちょっとした待ち時間には「単語帳を見る」、通勤中やウォーキングをするときは「英語のラジオを聴く」というように、学習内容を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
前述の英語の例のように、毎日の隙間時間の種類とやるべき勉強をひもづけると、日々の学習がスムーズに始められます。一種の条件づけですが、生活のなかのルーティンと学習内容をリンクさせることで、習慣にすることができるのです。一度習慣にしてしまえば、「勉強すること」を意識せずに継続できるようになります。
しっかり睡眠を取った朝は、脳がクリアな状態にあり、思考力や集中力が発揮しやすい時間帯です。一方、夜の脳は一日のいろいろな情報が未整理の状態にあるので、集中力が必要な勉強には向きません。しかし、眠っている間には情報の整理と記憶の定着が行われるため、暗記のような「覚える学習」には適しています。
このように、時間帯別の脳の状態に合わせて勉強する内容を変えることも、合理的な学習法です。
「勉強してもすぐに忘れてしまう」「なかなか覚えられない」という人は、分散学習法を取り入れてみましょう。これは、学んでから翌日、7日後、16日後というように間隔を空けて復習を繰り返す方法です。忘れかけたころに復習することで、次第に記憶が定着し、答えを記憶から呼び出すことが容易になります。
「この隙間時間には7日前の分を復習する」といったルールを決めて回していくと、効果的です。
勉強をする際は、「資格を取得する」「ビジネス書籍を1冊読む」「仕事関連の情報をアップデートする」といった具体的な目標を立てることで、モチベーションを維持できます。さらに、ゴールまでの道のりを分解して日々の小さな目標を定め、一歩一歩達成を積み重ねていくと、継続がしやすくなります。
体を動かしながら頭を使う“ながら勉強”も学習効果が高いといわれています。ウォーキングや家事をしている時間、トレッドミル、バイクなどのトレーニング中などを隙間時間と考えれば、勉強する時間はもっと増やせます。フィットネスバイクをこぎながらテキストを読む、掃除機をかけながら英会話を聴くといった方法であれば、すぐに取り組めそうです。
特に最近注目されているのが、オーディオブックの活用です。オーディオブックは、スマートフォンのアプリで利用できる“聴く本”です。自分の耳とスマートフォンが使える場面であれば、いつでもどこでも情報を得ることができます。
学習の進捗状況に合わせて、同じところを繰り返し聴くことも、少しずつ聴き進めることも可能。ビジネス書や専門書、外国語の本などラインアップが豊富なため、自分の目的に合った本を選んで勉強ができます。
1日は24時間、これは誰にとっても同じです。しかし、そのなかに眠っている隙間時間を上手に使って勉強をすれば、人生をより充実したものにできるでしょう。少しずつでも毎日積み重ねる勉強は、自分自身の財産になるからです。勉強方法は人それぞれですが、自分の隙間時間に合ったルールを決めて、継続していくことが大切です。オーディオブックアプリのような“ながら勉強”にぴったりなサービスも登場しています。学ぶことを楽しみながら、隙間時間の活用を始めましょう。
「ビジガク」は、ビジネス書に特化したAI音声合成オーディオブック配信サービスです。
コンセプトは『“ながら”で書籍を耳学問』。検索・購入・視聴までひとつのWebアプリケーション上で行うことができ、移動中やトレーニング中などのスキマ時間・ながら時間を使って手軽に“聴いて”学べる環境を提供します。
参考: