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LINEログインを活用してDtoCを成功に導く方法とは〜喜多宏介氏・岡田風早氏【後編】

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EC

2020.11.30


デジタルマーケティングの賢者たち(7)喜多宏介氏・岡田風早氏【後編】

営業や消費のオンライン化が進むなか、自社製品を顧客に直販する「DtoC」が注目を集めています。しかし、どのように取り組んで良いかわからず、二の足を踏むBtoB企業も多いと思います。

前編では、ソーシャルログインの専門家である株式会社フィードフォースの喜多宏介(きたこうすけ)氏、岡田風早(おかだかざはや)氏をお迎えし、ソーシャルログインの現状やLINEログインのメリットについてご紹介いただきました。後半は、引き続き、図書印刷 デジタルマーケティング営業部の鈴木暁雄(すずきあきお)が両氏にLINEログインを使ってECサイトで売上を上げる方法成功事例を伺います。

(全2回の後編です。前編はこちら。)

 

DtoCにおけるLINEログインの活用テクニック

鈴木:LINEログインやLINEを有効活用するポイントは何でしょう?

①LINEログインを目立つ位置に配置

岡田氏:弊社のサービスをご利用いただいている企業様は、ECサイトをすでに運営していて、LINE公式アカウントの運営も始めたものの、友だち数やID連携数が伸びず…というケースが多いですね。そんな企業様にはまず、新規登録の導線にLINEログインを入れていただくことをお勧めしています。

企業が実現したいことはLINEでの1to1のメッセージなので、ユーザーのモチベーションが一番高いタイミングでLINEログインで会員登録してもらえると、自動で友だち追加とID連携が完了し、自然と1to1のメッセージを送れる対象が増えていきます

 

②自社のCRMにLINEを連結

岡田氏:LINEログインは利便性が高く、一度使ったユーザーは別のサイトでも利用する傾向があり、導入すればプレゼントなどのインセンティブを付けなくても、LINEログインでの新規会員登録が増えてきます。そしてメールアドレスや電話番号、名前、住所といったデータが取得できるので、必要最低限の情報を自社のCRMに連結させるべきだと考えています。

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喜多宏介氏
株式会社フィードフォース
取締役 事業統括本部長

喜多氏:直近の個人情報保護の動きを見ていると、今後もプラットフォームから取得できるユーザー情報は確実に減っていくでしょう。今後は自社のCRMをいかに充実させ、きちんと活用していくのかという方向に重きが置かれるようになっていくと思います。

岡田氏:例えばECサイトでいうと、自社のサイトでどの商品を見たか、どんな商品を買ったかという情報は有効活用できると思います。プラットフォームからの情報がなかったとしても、ライフスタイルはどの商品を見ているかを追えばわかりますし、どこに住んでいるかが購買にそれほど大きく影響しない商品も多いと思います。

 

③セグメント分けしてメッセージ送付

岡田氏LINEでメッセージを配信する際、全員に同じメッセージを送ってしまいがちですが、属性やアクセス行動、購買履歴などでセグメント分けした個別メッセージのほうが効果は大きいです。

LINEのメッセージ配信には通数課金制が適応されているため、単純な一斉配信では費用対効果が悪くなってしまいますし、ユーザー視点で見ても興味のない情報が次々に送られてくるのは好ましくないでしょう。

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岡田風早氏
株式会社フィードフォース
執行役員 コーポレート本部長 兼 広報・Bizdev チームマネージャー

鈴木:例えば、どのような粒度でセグメント分けされることが多いでしょうか?

岡田氏:
メルマガでセグメント分けをされている企業様であれば、最初はメルマガと同じ分け方での配信をお勧めします。メルマガで分けたことがないという場合は、「女性だけ」「東京都の人だけ」といった属性によって分けたり、この商品を買った人だけに似たような商品をお勧めしたりといった、初歩的なところからまずは試して、売上アップを実感できたら、より細かいセグメントをする次のステップに進む形がいいでしょう

喜多氏:
LINEログインで登録してもらえると、自動的に企業のLINE公式アカウントに友だち追加されて、LINEの固有の識別子が取得できるので、ECのアクセス履歴や購入履歴が紐付けられます加えて会員が増えれば送付できる母数も増えるので施策がうまく回り始め、結果的に売上につながっていく例が多いです。

 

④もらって嬉しいメッセージを送る

岡田氏:送る内容も重要です。商品を売りたいというアプローチが強すぎるメッセージは、簡単にブロックされてしまいます。

鈴木:たしかにWEBは、ユーザーが見たいものしか見ないというか、見たいものしか目に入っていないところがあると思います。

岡田氏:やはり自分の好みに近いものがあれば見ますし、自分の好みに近くないものが来てしまうと、「なんだこれ」と思われてしまいます。だからこそ、ユーザーの行動履歴などを加味して、個々のユーザーに合ったメッセージを送る必要があります。メッセージを受け取ったユーザーがどう思う内容なのか、そこがあまりにも企業視点に寄り過ぎていると、LINEもすぐにブロックされてしまいます。

喜多氏:LINEのメッセージも広告も、本来は忘れたものを思い出せたり、知らなかった新しい発見があったり、ユーザーにとっていいものだったはずです。ユーザー視点で良いものを提供するという姿勢が、今後さらに重要になってくると思います。今、「メールは使わないけど、LINEは見る」という方は多いので、本当にお客様に合った情報であれば、見てもらえる可能性が高くなります。

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LINEログイン活用の成功事例

鈴木:ご紹介いただいたような施策を行って成功した事例を教えてください。

【事例1】LINEからの売上が2.5倍になった医療用品ECサイト

岡田氏:医療従事者に向けた医療用品ECの例が象徴的です。それまでメールマガジンやLINEで全員一律のメッセージを送っていたのを、LINEログインを導入してID連携率を高め、エンゲージメントの高いお客様へのメッセージ配信や、購買履歴・誕生月ごとにセグメントしたクーポンなども配信するようにしたところ、WEB広告費を削減したにもかかわらず、LINE経由のECの売上が最大2.5倍以上に増えた月もあるほど効果がありました。

喜多氏:先方は「LINEログイン導入の目的の一つであったセグメント配信の基盤づくりができました。ID連携数が伸びたことで、LINE経由でご利用いただいているお客様の像がよりクリアになりました」とお喜びで、今後もより多様なキャンペーンやお客様へのアプローチを通じて、今以上の売上アップが期待できそうです。

【事例2】人気ゲーム機の転売対策としてLINEログインを活用した家電系ECサイト

岡田氏:最近、家電系ECサイトで面白い使われ方がありました。抽選販売になるような人気ゲーム機の販売後の転売を防ぐために、「応募するにはLINE ID連携が必要」という形にしたのです。ECサイトからすると転売や不正利用が防げて、LINEでメッセージを送れる母数も増やせる。応募するユーザーから見ても、きちんと転売を防ぐ公正な販売をしているというポジティブな印象を持てます。

【事例3】リピート購入にLINEを活用して売上アップした眼鏡ECサイト

岡田氏:ある眼鏡ECサイトでは、コンタクトレンズのリピーターが多いので、LINEのリッチメニュー(各企業のLINE公式アカウントのトーク画面下部にある画像付き告知スペース)からタップ操作のみで前回購入したコンタクトレンズを買えるよう設計しリピート率が25ポイント改善、売上アップにつながりました。

喜多氏:
LINEログインとリピート商材はとても相性がいいですね。会員登録だけでなく、オートログインでの再購入も本当に楽ですので、1回慣れてしまうと離れられません。

D2Cを始めるにあたって注意すべきこと

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鈴木暁雄
図書印刷株式会社
デジタルマーケティング営業部 主任

鈴木:この記事の読者の方には、BtoB企業で今後はDtoCで自社製品を直接販売したいと考えておられる方も多いと思います。当社が支援しているメーカー様の中には、自社のDtoCサイトを構築すると同時にECで多店舗展開を進め、直接コミュニケーションを取ることができるような顧客基盤の構築を目指している企業様もございます。

このような流れもますます激しくなってくると考えているのですが、DtoCにおけるソーシャルログインの活用事例などはございますでしょうか?

岡田氏:DtoCに取り組んだフェイスマスクメーカー様の事例があります。以前はドラッグストアなどに卸していたものを、自社でもECサイトを作って販売をし始めて、成果が出始めています。ECサイトにはLINEログインと自動友だち追加機能(参照:https://socialplus.jp/line/add_friend )を導入し、新規会員登録・購入導線をスムーズにしつつ、登録の過程で自然にLINEでもつながることができる仕組みを作っています。

喜多氏:卸売だけ、楽天の店舗だけといった形ですと、なかなか売上は伸びてこず、メーカーで自社のECサイトを作って直販する動きが出てきていると思います。化粧品などでも、DtoCは増えてきているようですね。

鈴木:フィードフォース様が考えられる、DtoCを始める際に留意すべき点などはございますでしょうか?

喜多氏:今ECサイトを立ち上げること自体は、以前よりとても簡単になり、DtoCを始めるハードルは大きく下がりました。しかし卸売メインだった企業様には、これまで消費者の声が届きにくく、消費者対象のCRMの具体的なイメージや仕組みが持てていない状況ではないでしょうか。それではなかなか競争の激しいECの世界で売上を上げることはできません。

今後は自社のCRM基盤を構築していくことが重要になってくるかと思いますので、ファーストパーティデータの取得に、是非ソーシャルログインをご活用いただきたいと思っております。

鈴木:お話ありがとうございました。

 

図書印刷とフィードフォースでECサイトの立ち上げから売上アップまでをトータル支援

フィードフォースと図書印刷はパートナーシップを結んで、お客様のEC分野での支援を行っています。

フィードフォースでは、ソーシャルログイン・ID連携サービス「ソーシャルPLUS」を活用したサイト利便性の向上法や、ID連携を活かしたLINE活用のベストプラクティスなどを提供しています。図書印刷はWEBサイトやECサイトの構築やリニューアル、広告運用をトータルに支援しています。

DtoCへの取り組みにお悩みをお持ちのBtoB企業様は、ぜひ当社にお問い合わせください。

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プロフィール
喜多 宏介(きた こうすけ)氏
株式会社フィードフォース 取締役 事業統括本部長

2002年株式会社日本システムディベロップメント(現株式会社NSD)でSE職を経験後、2005年大和証券株式会社に営業職として入社。 2006年フィードフォース創業当時から企画営業に従事し、2012年6月取締役に就任。2019年7月に東証マザーズに上場させ、現在は事業戦略や新規事業開発を行う。企業のマーケティング支援を行うグループ会社、株式会社アンノウンの取締役も務める。

岡田 風早(おかだ かざはや)氏
株式会社フィードフォース コーポレート本部長 兼広報・Bizdev チームマネージャー

ソーシャルログイン/ID連携ASPサービス「ソーシャルPLUS」のカスタマーサクセスチームの立ち上げで2015年フィードフォースに入社。その後「ソーシャルPLUS」プロダクトマネージャーを経て現在の役職に至る。LINE社とLINEログインにおけるパートナー契約を中心になって進め、ビジネスコネクトパートナーや大手代理店と連携して、企業のLINEによるOne to Oneコミュニケーション実現の設計に数多く携わる。

鈴木 暁雄(すずき あきお)
図書印刷株式会社 デジタルマーケティング営業部 主任

2012年図書印刷入社。商業印刷物全般、スペースメディア、キャンペーン、WEBマーケティングに従事した後、関連企業のデジタルマーケティング部署に出向。大手製菓メーカー、トイレタリーメーカーを担当。2019年4月より図書印刷のデジタルマーケティング営業部に所属。アカウントマネージャーとして、顧客の課題解決施策を企画・立案。また、プロジェクトマネージャーとして、社内外のメンバーを統率し数々のプロジェクトを推進中。

図書印刷のデジタルマーケティング支援サービス

図書印刷では、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。

図書印刷が描くDX時代のマーケティング透視図のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。

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