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BtoB企業でWEB広告を成功させるためのポートフォリオ運用とは〜小林治郎氏【前編】

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WEB集客

2020.10.15


デジタルマーケティングの賢者たち(5)小林治郎氏【前編】

日本の広告費全体を見ると、インターネット広告は2兆円を超え、すでにテレビメディアを抜きナンバーワンメディアとなっています(※)。WEB広告は低予算からはじめられる、効果が計りやすいなどメリットが多いですが、これまでのオフライン広告でのノウハウが通用しにくく、「どの媒体にどんな割合で出稿したらよいのかわからない」「なかなか効果が上がらない」といったお悩みを持つ企業担当者様も多いのではないでしょうか。

経営者やマーケターに向けたスペシャルインタビュー「デジタルマーケティングの賢者たち」では、お客様のマーケティング課題や事業課題に対して、図書印刷が毎回さまざまなスペシャリストの方々から、ビジネスの成功に向けた金言を引き出しています。

今回は、AIを活用し少額の予算でもGoogle、Yahoo!、Facebookなど複数の媒体広告に最適な予算配分で運用を委託できる株式会社ローカルフォリオ 代表取締役社長 小林治郎(こばやしじろう)氏をお迎えしました。図書印刷 デジタルマーケティング営業部の木下剛(きのしたつよし)がWEB広告のトレンドや成功のためのポイントを聞いています。WEB広告で継続的に見込み客を獲得するためにお役立てください。

(今回は全2回の前編です。後編に続きます。)

※参考資料:日本の広告費

 

BtoB企業でWEB広告の注目度が高まっている

木下:日々多くのお客様の広告を運用されていて、現在のWEB広告への関心度合いは以前と比べてどう変わっていますか?

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小林治郎氏
株式会社ローカルフォリオ
代表取締役社長

小林氏:ここ数年でWEB広告への関心が高まってきた実感があります。それが新型コロナウイルスの影響で加速度を増しています。

特にBtoB企業のお客様が顕著です。以前は「オンライン広告なんてすぐやらなくても」という反応だったのですが、ここ数か月は「展示会ができなくなったのでオンライン広告をなんとかしなければ」という需要が大きく盛り上がっています。

木下:比率はどのぐらいですか?

小林氏:そうですね、これまでは新規のお客様の8割はBtoCだったのですが、今は半々かBtoBのお客様のほうが多い月もあります。当社では少額案件でも対応しているのですが、他社では少額の広告運用を受けるところがあまりないということも影響していると思います。

木下:増えているBtoB企業はどういう業種が多いのですか?

小林氏:業種は多種多彩です。メーカーや販促サービス、ソフトウェア系の会社も多いですね。それから、弁護士や税理士といった士業の方もよく引き合いをいただきます。

 

WEB広告の運用は「目的の明確化」と「効果の可視化」が重要

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木下剛
図書印刷株式会社
デジタルマーケティング営業部 課長

木下:小林様は広告運用において、どのようなことを意識されていますか?

小林氏:私がWEB広告にたずさわるようになったのは、WEB広告勃興期の2004年でした。以来毎年億単位の広告運用を統括してきましたが、それぞれの広告の目的を明確にし、運用中の経過や結果の可視化にこだわり、データをもとに改善を続けることが重要だと考えています。

木下:具体的にはどういう形なのですか?

小林氏:広告ごとに違ったLPを用意したり、パラメーターを変えたりすることで、アクセス行動が細かく把握できるよう設定し、各媒体・各広告での反響やその後の販売数をデータ化します。何回か出稿すれば、広告に対する反応の基準値がわかってきますので、その数字に達しない場合は何が悪いのか分析し、たとえばクリエイティブを差し替える、A/Bテストを行う、出稿量を増やすなどの対応をします。そしてその結果を見てまた改善を続けていました。

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木下:ローカルフォリオのサービスにはどんな特長がありますか?

小林氏:特長は2つ、社名に集約されています。ひとつは“ローカル”。地域に根ざした企業を支援するという意味です。当社ではオンラインと並行してオフラインの効果測定や運用提案も行っています。チラシやDMごとに違う電話番号を掲載し、それぞれの広告での反響をリアルタイムで確認できるシステムをご提供しています。

木下:電話を計測している会社は少ないので画期的ですね。

小林氏:逆に、計測しなければ広告効果を把握できません。もうひとつの特長は“フォリオ”。金融の分散投資同様、デジタルマーケティングでポートフォリオ運用を実現しています。GoogleとYahoo!のリスティング広告、ディスプレイ広告、Facebook広告やInstagram広告といったさまざまなメディアの広告を組み合わせ、AIで半自動的に配分を最適化し続けます。システム任せではなく、常にオンライン広告の専門家がチェックしていますので安心です。

木下:それを少額の予算でも可能にしたことも画期的です。

小林氏:人の手で運用する場合、たとえば代理店などに月30万円の予算で4媒体を運用したいと依頼すれば、断られるか言われた配分通りに出稿するだけという場合が多いと思います。しかしAIを活用すれば、その予算で配分も毎日変える形でできます。

 

BtoB企業向けWEB広告を成功させる5つのポイント

木下:BtoB企業の担当者に向けてWEB広告で成功するためのポイントを教えてください。

小林氏:それではポイントを5つご紹介します。

1)複数の媒体に最適な配分で出稿

まず、一つの媒体だけに出稿せず、Google、Yahoo!、Facebook、Instagram、LINEなど、複数の媒体を効果的に使うことです。

自社運用している企業様は、手間がかかるのでGoogleだけに出稿しているケースが一般的です。ただ、我々のデータではBtoBでもYahoo!の効果が高いことがわかっています。企業でもニュースを見るためにYahoo!をポータルにしている方は多いですし、Windows10標準のMicrosoft Edgeのブラウザでデフォルト検索のBingを使えば、リスティング広告はYahoo!広告が表示されます。

また、BtoCではInstagramが欠かせないメディアになってきていますが、BtoBでも見た目重視の商材など、商品やサービスによってはInstagramは外せません。特に女性で年齢層若めであれば、驚くほど強いですね。

といったように、BtoBでも、さまざまなメディアを組み合わせ、運用結果を見て配分を変えていくことが欠かせません。

2)3〜6か月は分析のためのデータ蓄積期間

WEB広告はオフラインに比べて結果が早いとはいえ、改善のためのデータ蓄積や、トライアンドエラーを行う時間も必要です。

リターゲティング広告はある程度のアクセス数がないと出稿さえできません。そして商材の問題もあります。BtoBの場合は決裁までの社内調整などもあり、検討期間が長い傾向があります。数か月間特に反応がなかったのに、大手企業からの1件の問い合わせで「何千万円の商談につながりました」というケースもあります。ですので私は半年間の継続的な広告運用を推奨していますが、最低でも3ヶ月は我慢が必要だと考えています。

3)コンテンツを再確認

BtoB系ではコンテンツが古い企業が多い印象です。昔一度つくったきりで、最新情報が5年前、10年前の情報ということさえあります。それでは問い合わせに結びつきにくいものです。

せっかく広告を行うなら、受け先であるコンテンツをしっかりと充実させたウェブサイトを作っていくべきです。お客様を呼び込むキーワードや広告画像と、呼んだ後のランディングページの関連性も重要です。関係ないと見られるとすぐ離脱されてしまいます。それから、やたらと入力項目の多いコンタクトフォームも見直す必要があります。質問数によってコンタクト完遂率が変わってきます。 

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WEB広告を成功させるためのポイント5つのうち、残りの2つはインタビューの後編で紹介します。ぜひ続けてお読みください。

 

プロフィール
小林 治郎(こばやし じろう)氏
株式会社ローカルフォリオ 代表取締役社長

青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系銀行、アグリ・バイオベンチャー起業を経験後、一橋大学院国際企業戦略研究科でMBAを取得。外資系コンサルティング会社を経て、デル株式会社(現/デル・テクノロジーズ株式会社)でオンラインマーケティングマネージャー、執行役員、コンシューマ・スモールアンドミディアムビジネス営業本部統括本部長などを歴任し、広告主の立場でオンライン・オフライン両方の広告運用を統括する。 2014年、WEB広告の将来性を確信してリーチローカル・ジャパンサービシーズ合同会社の代表職務執行役社長に就任、2018年に同社が株式会社ローカルフォリオへと組織再編する際、代表取締役社長に就任。休日はゴルフや愛犬との散歩を楽しむという。

木下 剛(きのした つよし)
図書印刷株式会社 デジタルマーケティング営業部 課長

2007年~2013年に放送と通信のクロスメディア事業を展開するグループ会社にて、デジタルコンテンツの新規事業開発を担当。スマートフォン向けのアプリ企画やPRを目的としたラジオ番組のプロデュースを担当し、新たなビジネスモデルの開発に貢献。2014年~2019年は大手通販会社のECチャネルの責任者として運用体制の構築、システム導入、マーケティング施策の計画から実行までを担当し売上アップに貢献。現在は図書印刷株式会社にてデジタルマーケティング部門の立ち上げに従事。

 

図書印刷のデジタルマーケティング支援サービス

図書印刷では、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。お客様の課題や外部環境を踏まえた上で、企業(またはブランド)の強み・特長を、データに基づいて洞察、咀嚼/翻訳し、課題解決へ向けた戦略プランの設計から運用までをお手伝いしております。

図書印刷が描くDX時代のマーケティング透視図のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。

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