WEB解析は「数字」ではなく「ユーザーの気持ち」を紐解いている〜小川卓氏【前編】

WEB解析は「数字」ではなく「ユーザーの気持ち」を紐解いている〜小川卓氏【前編】

マーケティング

デジタルマーケティングの賢者たち(1)
小川卓氏【前編】

今や、企業の経営やマーケティングに不可欠なものとなっているWEBサイト。ほとんどの企業で解析ツールを導入し、データ分析を試みていますが、自信を持って活用できている担当者は少ないのではないでしょうか。

経営者やマーケターに向けたスペシャルインタビュー「デジタルマーケティングの賢者たち」では、お客様のマーケティング課題や事業課題に対して、図書印刷が毎回さまざまなスペシャリストからビジネスの成功に向けた金言を引き出しています。

今回は、WEBアナリストの第一人者である小川卓氏に、データ分析のスペシャリストとして活躍する図書印刷の多田が、サイト解析やデータ利活用のポイントについて聞きました。

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データ集計後の洞察や解釈が欠けている

多田:現在、多くの企業がデジタルマーケティングに取り組んでいますが、その現場において、WEBサイトやデータ活用はどの程度浸透していますか。

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小川卓氏
株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役

小川氏:上場企業の8割が解析ツールを導入している状況ですが、本当にデータを活用できているといえる企業は、まだまだ少ないと感じています。体感では5%に満たないのではないでしょうか。というのも、多くの企業が数字の集計にとどまっているためです

先月と比べて、PV(ページ・ビュー)やUU(ユニーク・ユーザー)の数が増えた/減った」など、変化を見るだけで終わっています。その数字を基にして、どのような施策を講じるべきかという洞察がないことが多いようです。健康診断に例えるとよく分かります。自分の検査結果の数値だけ聞いても、基準値との比較や、医師による診断がなければ、対策や治療が必要かどうか判断できません。ただ数字だけ示されても、次の行動にはつながらないのです

クラウド化やデジタル化が進んだことで、昔と比べて格段に多くのデータを安価に集計できるようになりましたが、解析や分析はまだまだ不十分だと思います。その要因として、2つの課題があると考えています。1つは「着目すべきデータを把握できていない」こと、もう1つは「解釈できる分析者がいない」ことです

 

解析担当者に統計の知識は必要ない

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多田良
図書印刷株式会社
デジタルマーケティング営業部

多田:この2つの課題を乗り越えるために、企業はどのような取り組みが必要なのでしょうか。

小川氏:正しくゴールを設定して、把握すべきデータを明確にするのは、未経験者がゼロから始めるのは大変ですし時間もかかります。外部から採用をする、社内で目星をつけて育成するという方法もあります。

時間をショートカットしたいという事であれば、3カ月でもいいので外部のプロフェッショナルに協力を仰ぎ、「方法論を学んで、実サイトで一緒に設定してみる」ことをお勧めしています。もちろん、最終的には自社で設計できることを目指すのが前提ですが、その場合は担当となる人員の配置と権限委譲が必要かなと。

多田:「解釈できる分析者」は、やはり自社で育てる努力も必要ですよね。ただ、どうしてもデータの分析やWEB解析というとハードルが高く感じて尻込みをしてしまう場合も少なくないと思います。

小川氏:例えば「WEB解析」というと、数字をゴリゴリいじるというイメージがあるかもしれませんが、実はそうではないんですね。WEB解析の目的を端的に表現すると「サイトに来ているユーザーの気持ちを知ること」であり、訪問者の行動を紐解いていくと一人ひとりのストーリーや心理が見えて面白いものです

実際にWEBサイトでは、リアルな店舗と比べてもユーザーの行動を細かく把握することが可能です。仮にコンビニの店舗の場合は、顧客がポイントカードなどを登録していても、店舗が把握できるのは性別や年齢、購入商品の履歴データといったところでしょうか。

しかしWEBサイトの場合は、コンビニに例えると「ある人が雑誌コーナーで週刊誌を何分か立ち読みして、その後ドリンクを手に取ったけど元に戻し、お菓子の棚でチョコレートが気になったけど、何も買わずに出ていった」というような細かな行動が把握できます。ユーザーの情報をオフラインよりも収集しやすいのがオンラインの利点なのです。

多田:そう聞くとWEB解析やデータ分析もそれほどハードルが高くはないんだなと感じます。人材が限られるなか社内で担当者を探す場合、どういった人が適任でしょうか。

小川氏:解析だからといって、統計に詳しいかどうかにこだわる必要はありません。今は解析ツールもクラウド製品が多く、その使い方は誰でも習得できます。それよりも自分でホームページを運営している人や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を積極的に利用している人のように、実際にコンテンツを作っていてサイト改善案やアウトプットイメージが沸きやすい人材が向いています

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“水族館型サイト”なら初見ユーザーでも迷わない

多田:経験の浅い担当者でも、ファーストステップで取り組みやすい施策を教えていただけますか。

小川氏:今あるコンテンツや施策が効果があったのかどうかを評価するのも、1つの手段です。分析してから改善しようとすると、そもそもデータが取れていなかったり、分析に手間取って止まってしまうことも往々にして考えられます。それよりも既存施策の成否を評価することから始めるのが容易ですね。評価を先に行うことで社内の基準やベンチマークも形成されるため、分析に基づいた施策を企画、実行する際にロジックが組みやすくなります。

多田:我々のお客様はBtoBの事業形態も多いのですが、WEB解析を行う場合どれくらいのPVがあれば評価、分析が可能ですか。

小川氏:訪問者一人ひとりの行動を分析するだけであれば、数百PVもあれば可能です。1000から2000程度あれば、少し安心してさまざまな分析を行えると思います。もし訪問数が十分でない場合は、分析ではなく、まずはWEB広告などの集客施策にリソースや予算を集中して投下すると良いでしょう

多田:これからデジタルマーケティングに取り組むマーケターに、どのようなWEBサイトを目指すべきかアドバイスをいただけますか。

小川氏:私がコンサルティングする際によく言うのは、「水族館みたいなサイトを作りましょう」です。水族館では見学の順路が示されていますよね。これをWEBの世界でも意識していただきたいのです。

結婚式場のWEBサイトを例にして考えてみると、まず自慢のチャペルをTOPページで紹介しているとしたら、その次に「披露宴会場を見てみませんか」とリンクを貼るでしょう。その次に「料理」、次に「プラン、料金」といった感じで、サイト運用者が順路を教えてあげるわけです。すると初めてサイトに訪問したユーザーでも迷うことがありません。

何度も来ている人は勝手に見たいページに入っていくでしょうが、初めて来る方におススメの順路を提示することは、分かりやすいWEBサイトの1つの条件だと思っています。

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プロフィール
小川卓氏
株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役

University College London(英国)卒業、早稲田大学大学院理工学研究科卒業。WEBアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。趣味はピアノ、テレビゲーム、サッカー、温泉。

多田 良
図書印刷株式会社デジタルマーケティング営業部

WEBアナリストとしてGoogle Analyticsほか、さまざまなツールを用いてECサイトの分析からKPI設計、改善提案まで、企業のデータ活用を支援。

 

図書印刷では、WEBサイトやEC事業の構築・リニューアルも含めた幅広いデジタルマーケティング支援サービスを提供しています。

「図書印刷が描くDX時代のマーケティング透視図」のページでは、当社の「デジタルマーケティング支援サービス」の導入企業のご担当者様や、デジタルマーケティング界の識者の方々へのインタビューを通じて得られた「生の声」を掲載。ぜひお客様のマーケティング活動にお役立てください。

図書印刷が描くDX時代のマーケティング透視図

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