カスタマージャーニーマップを作る目的とは?作り方、活用例を紹介

カスタマージャーニーマップを作る目的とは?作り方、活用例を紹介

マーケティング

インターネットの普及や社会のデジタル化に伴い、顧客の購買行動が変化しています。企業のマーケティング施策にもさまざまな変化が求められていますが、まずはしっかりとした現状把握がスタート地点となるでしょう。そこで今回は、顧客の購買プロセスを分析し、課題を発見するための有効なツールである「カスタマージャーニーマップ」について解説します。

カスタマージャーニーマップとは何か

「カスタマージャーニーマップ」とは、直訳すると「顧客の旅の図」です。

顧客(カスタマー)がある商品を知ってから購入・使用・購入後までの一連の行動を旅(ジャーニー)に例えて、それぞれの時点での行動や心理の変化を図にしたものです。

<カスタマージャーニーマップの例>カスタマージャーニーマップ図_20200730.png

顧客はどのタイミングで、どこのチャネルを使って、どこのタッチポイントに接触し、どういう思考や心理を経て、どういう行動を取るのか。細かくシミュレーションした結果を図に落とし込むことによって、顧客の行動と心の動き全体を「見える化」することを目指します。

カスタマージャーニーマップを作る3つのメリット

カスタマージャーニーマップを作成するメリットには、大きく以下の3点が挙げられます。

顧客の行動・心理を時系列で把握することで、事業の課題が明らかになる

購買プロセスを時系列で見ることにより、企業からのアプローチが、その時々の顧客の行動や心理に合っているかどうかをチェックできます。顧客がその時点で欲しいと感じる情報をきちんと提供できているか、このタイミングではどんな接客がふさわしいか、どういった宣伝が心に響くかなど、さまざまな角度から課題や改善点を抽出するのに役立ちます。

タッチポイントを洗い直し、それぞれの接点での顧客満足度を高められる

行動の流れをシミュレーションすると、顧客と商品との間にどのような接点があるのか、また、どのような接点が生まれる可能性があるのかが見えてきます。それらのタッチポイントでの顧客の行動や心理を理解して、接客方法や店舗・ECサイトのあり方を見直し、顧客とのコミュニケーションを改善することが、顧客満足度の向上につながります。

社内で共通認識を持ちやすく、課題解決のスピードアップが図れる

図を使って表現すると、購買プロセスにおける顧客の行動や心理を直感的に理解することができます。社内で素早く情報の共有ができるため、お互いの認識のズレが起きにくく、顧客接点改善に関する課題を効率的に解決することができます。

カスタマージャーニーマップの作り方

では、カスタマージャーニーマップはどのように作成すればよいのでしょうか? 大まかな流れを解説します。

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1 ゴールの設定

何のためにカスタマージャーニーマップを作るのか、ゴールを設定します。「商品の定期購入を促進する」「WEBサイトからの予約を増やす」など、目的を明確にします。

2 顧客のペルソナを設計

想定している顧客のペルソナを細部まで推測します。性別・年齢・職業・趣味や好きなことなどを細かく描写することにより、各フェーズでの行動や思考がイメージしやすくなります。

3 仮説を立てる

顧客の行動を5W1Hに分解して、時系列で購買行動のプロセスを想定します。チームでブレストを行い、タッチポイントごとに顧客の行動・心理を分析し、「Aという行動を取ったのは、Bと考えたからであり、その背後にはCという感情があった」というような具体的な仮説を立てます。そしてカスタマージャーニーマップに記入していきます。

4 調査(可能であれば)

可能であれば机上の分析だけでなく、実際の顧客にアンケート(定量調査)やインタビュー(定性調査)を行い、より深く顧客の実像を把握します。カスタマージャーニーマップに反映させ、仮説を検証します。

5 課題を抽出

作成したマップで読み取れる顧客の行動・心理から、「もっとこうすればスムーズに購買につながるはず」「ここが障害となっているのでは」といった現在の事業の課題を抽出します。この気づきがカスタマージャーニーマップの成果です。ここから、最初に設定したゴールを達成するための具体的な改善策を立案していきます。

カスタマージャーニーマップの活用例

カスタマージャーニーマップの具体的な活用事例を紹介します。

2回目以降の購入にかかる手間を分析しUIを改善〈Yahoo!ショッピング〉

ヤフー株式会社が運営するYahoo!ショッピングでは、「ユーザーは普段よく購入する商品の購入に手間がかかっている」というテーマを設定。その要因を明らかにするために、コスメ用品を定期購入している人に対象を絞り、2回目以降の商品購入のプロセスを、カスタマージャーニーマップを作って分析しました。

するとユーザーは、2回目以降の商品を次のような方法で探しており、そのことにわずらわしさを感じていたことが分かりました。

  • 注文履歴にアクセスして、以前購入した商品を探す
  • Yahoo!ショッピングのトップページから検索して、以前購入した商品を探す

そのわずらわしさを解消するために、同社ではサイトのUI(ユーザー・インターフェース)を次のように改善しました。

  1. Yahoo!ショッピングのトップページに「そろそろなくなる?消耗品」という専用スペースを作り、過去に購入した商品を表示する
  2. 検索予測キーワードで「以前買ったストアから探す」を選択すると、過去に購入したショップのページへ移動する
  3. 当該商品の関連キーワードで検索すると、検索結果で表示された商品一覧の最上位(広告枠を除く)に、過去に購入した商品を表示する

テーマを絞ってユーザーの体験を詳しく見ていくことで、課題を特定し、サイト改善の方向が明確になった事例と言えるでしょう。

顧客の行動から逆算して考え、適切な改善案を立てる〈損害保険ジャパン日本興亜〉

損害保険大手の損害保険ジャパン日本興亜株式会社に入る問い合わせ電話は年間180万件超と、保険契約者数の約1割にのぼります。「問い合わせ=顧客の困りごと」とすると、一人ひとりの“困りごと”の根源を見つけて改善できれば、顧客の理解が進むと同時に、同じような問い合わせも解消できるはず。そうテーマを決めた同社では、実際のコールセンターへの問い合わせ内容に基づいて、入電時の顧客の感情を想像しながら、問い合わせに至るまでのジャーニーを作成することにしました。

一般的にカスタマージャーニーマップは、特定のペルソナを想定してジャーニーを作成し、仮説を立てていきます。しかし、顧客一人ひとりの保険契約はさまざまで、通常のペルソナ設定が難しいと考えた同社では、あえてペルソナを作らず、顧客の行動から逆算して考えることにしたのです。

まずはコールセンターに集まった声を徹底的に分析。そのうえで顧客の“困りごと”別に、顧客の行動や感情をカスタマージャーニーマップに落とし込みました。その結果、顧客が本当に困っていることは何か、改善すべき課題は何かといった仮説が見えてきたのです。そこからシミュレーションや定量的な検証を経て、顧客体験の向上を目指す提言をまとめ、社内で共有していきました。

たくさんのリアルな声から顧客の感情を読み取り、分析し、その裏付けとしてカスタマージャーニーマップを役立てた事例ですが、マップで可視化することで顧客体験を向上させるための施策をブレなく推進することができたそうです。

顧客の行動や感情を分析して、顧客体験(CX)の改善に役立てよう

今回は、カスタマージャーニーマップのメリットや活用例を解説しました。しっかりとゴールを見据えてカスタマージャーニーマップを作ることで、複雑化する顧客と商品の接点を見える化できます。これにより、顧客体験(CX)に関する課題を発見し、具体的な改善策の立案に結び付けられます。カスタマージャーニーマップ作りに挑戦して、今後のマーケティング活動に役立てましょう。

カスタマージャーニーマップの作成により課題を明らかにすることは、顧客体験(CX)の改善に役立ちます。顧客体験(CX)向上の一連の手法について、より詳しく知りたい方は、こちらの無料eBookをご覧ください。

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参考:

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