視点を変えて販売促進!顧客インサイトとは?

マーケティング

コンビニである商品を買った顧客に対し、「なぜその商品を買ったのですか」と質問したとします。果たして、顧客の何割が明確な説明をすることができるでしょうか。

従来のマーケティングでは、「顧客のことは顧客がもっともよく知っている」という考えのもと、顧客からニーズを聞き出して商品開発に活用する取り組みが重視されてきました。しかし、実際には顧客は直感で商品を選んでいる場合も多く、顧客自身に答えを求めても明確な回答を得ることが難しいという実態があります。

今回は、「顧客インサイト」という言葉に注目し、販売促進のために企業が持つべき視点について紹介します。

顧客インサイトとは?

まず、顧客インサイトとは何かを解説しましょう。

顧客インサイトの意味

インサイトには、「物事を見抜く力」という意味があります。マーケティング用語としての「顧客インサイト」とは、顧客がその商品やサービスを利用する潜在的な理由を企業が見抜くことを指します。

前述のコンビニの例で考えてみましょう。「なぜその商品を買ったのですか」という質問に対して「安かったから」という回答が得られたとします。この回答に対し、「なぜ安い商品を選んだのか」「他にも理由があるのではないか」などと顧客の心理をさらに踏み込んで理解しようとするのが顧客インサイトです。

モノが売れない時代においても、安定して売上を伸ばしている商品は存在します。そのようなヒット商品の裏では、こうした顧客の隠れた心理を企業が見抜き、思わず買いたくなってしまう仕掛けをつくっているのです。

顧客インサイトの調査方法

顧客の心理を見抜くには、複数の調査を組み合わせて顧客の購買行動を総合的に理解することが求められます。調査方法の例をいくつか紹介します。

アンケート

あらかじめ用意した質問に対して多数の人に回答を求める調査方法です。質問を定型化することで効率よく回答を得られるというメリットがあります。

インタビュー

個別の回答者に対談形式で質問を投げかける調査方法で、回答者の反応を肌で感じることができるのが特徴です。回答者の表情や声のトーンに注目し、言葉で語られない顧客の気持ちも探り出せる可能性があります。

行動観察

顧客の行動を観察しながら行動パターンやその裏にある心理を把握する方法です。商品を購入する際に顧客が取る行動を店頭で観察したり、商品がどのように使われているかを生活のなかで観察するなどを通して、アンケートやインタビューなどでは引き出すことが難しい情報を発見できます。

ソーシャルリスニング

ソーシャルメディアから消費者の声を集める手法です。ソーシャルメディアでは消費者の正直な気持ちが表れやすいので、アンケートやインタビューでは拾いにくいマイナスの意見も収集することができます。

ソーシャルリスニングについては、「ソーシャルリスニングとは?」のコラムでも詳しく紹介しています。あわせてご確認ください。

 

顧客インサイトで得られるメリットとは?

顧客の心理を理解すると、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。事例をもとに見ていきましょう。

従来にはないビジネスモデルを構築できる

アップル社のiPodが爆発的に売れた理由は何でしょうか。それは、CDやMDなどの音楽媒体が主流だった時代において、iPodにインターネットを介してデジタルコンテンツをダウンロードするという新たな音楽の楽しみ方を提供したからです。

配車アプリのUberが人気を誇る理由は何でしょうか。それは、タクシーを拾うところから、運転ルートの確認、料金の支払い、ドライバーの評価までの一連の流れをアプリ上で行うことを可能にしたからです。

iPodにしてもUberにしても、顧客自身が「こんな商品やサービスが欲しい」というニーズを抱えていたわけではありません。しかし、顧客の心理を理解して従来にはなかった利便性の高いビジネスモデルを作り上げたことによって、iPodやUberは大きな成功を収めることができました。

きめ細かい施策を立案できる

顧客の心理から新たな発想の宣伝や広告を打ち出して販売を拡大させた「ゴットミルク・キャンペーン」をご存じでしょうか。

ゴットミルク・キャンペーンとは、1990年初頭に米国カリフォルニア州の牛乳加工業者が立ち上げたキャンペーンです。当時のカリフォルニア州では牛乳の売上減少が深刻化しており、1980年の1人あたりの年間消費量は30ガロンであったのに対し、1993年には24.1ガロンにまでに落ち込みました。

そこで、牛乳加工業者は牛乳をよく飲む消費者に対して1週間牛乳を飲まないように依頼し、どんなときに牛乳を飲みたくなったかを調査しました。すると、「パンやシリアル、クッキーなどを食べるときに牛乳が欲しくてイライラした」という回答を得ることができました。

この回答をもとに牛乳加工業者は、「パンやシリアル、クッキーなどを食べる場面と連動させれば、牛乳の消費量が上がる」という仮説を立てました。そして、牛乳のPOP広告を牛乳売り場ではなくシリアルやクッキーの売り場に展開し、また牛乳のテレビCMを流す時間帯を「朝食」「おやつ」「夕食後のひと時」などに集中させたことにより、キャンペーンの翌年に売上を1億ドル増加させることに成功しました。

ゴットミルク・キャンペーン以前には、「牛乳は栄養価が高い」という点を強調したキャンペーンを展開していた牛乳加工業者ですが、残念ながら売上につながることはありませんでした。このことからも、顧客インサイトからきめ細かい施策を打ち出せば、商品の訴求力が高まることが実証されています。

顧客インサイトを得るための視点

最後に、顧客の心理を見抜く際に役立つ視点の持ち方をご紹介します。

手段から目的を探る

自動車製造の父であるヘンリー・フォードが遺した有名な言葉に「もし顧客に直接何が欲しいかを問えば、もっと速く走る馬が欲しいと答えただろう」というものがあります。この言葉は顧客インサイトの真髄で、フォードが自動車を生み出した背景をよくあらわしています。

「もっと速く走る馬」という顧客が求めている手段にのみ注意を払うのではなく、「短時間で目的地に到着したい」という目的を忘れないようにしましょう。顧客インサイトを得るには、手段から本来の目的を探り、顧客が抱えている悩みを根本的に解決する方法を考えましょう。

現象から原因を探る

ある調査において、コンビニの買い物客が購入する商品の数を調べたところ、「1点」と「2点」という回答が合わせて全体の約半数を占めました。この「購入数が2個以下」という事象から「カゴを持たずに買い物をする客が多い」ことが原因であると推測し、「店内の数カ所にカゴを設置すれば購入数は増える」という仮説を立てて実験を行ったところ、顧客1人当たりの購入数が増えたそうです。

このように現象から原因を探って問題を解決するという方法も、顧客インサイトを得る方法として有効です。

矛盾を見つける

顧客インサイトを得るには、顧客の行動に矛盾を見つけるという方法もあります。日清食品は、この方法で若者の間で人気を誇るカップヌードルをシニア世代にも根付かせることに成功しました。

従来のシニア向け商品というと、減塩や低カロリーを訴求した商品がほとんどでした。しかし、日清食品が調査を進めたところ、SNSで豪華な食事の写真を投稿するシニア世代の姿が目立ちました。

「口では健康志向と言いながらも、自由に好きなものを食べている」という矛盾した行動を見抜いた日清食品は、プレミアム感のある「カップヌードルリッチ」を2016年4月に発売。50代男性層や60代のアクティブシニア層に受け容れられ、発売7ヶ月で販売累計1400万食を突破しました。

まとめ

「顧客が気付いていないニーズを見抜く」と言うと難しく聞こえますが、事例から分かるとおり、視点を少し変えるだけで販売を拡大するチャンスは巡ってきます。顧客がどのような悩みを抱えているかを考えて解決策を練り、販売強化を目指しましょう。

企業は顧客が潜在的に抱えているニーズや悩みを明らかにするだけではなく、その課題を解決するためにどのようなコミュニケーションをするかを考えることも重要です。そういったコミュニケーションをデザインするためのヒントは広告だけではない!「人の気持ちをデザインする」コミュニケーションデザインで成功する秘訣とは?のコラムをご確認ください。さらに、図書印刷ではさまざまな表現手法で顧客とのコミュニケーションを支援しています。詳細は「図書印刷のサービス・製品領域」をご覧ください。

参考:                                                                                  

 

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