セールス・イネーブルメントとは何か?活用イメージやポイントを押さえよう

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近年、米国ではBtoB営業の分野で「セールス・イネーブルメント」という概念が注目されています。セールス・イネーブルメントとは、企業の営業活動のパフォーマンスを強化するための組織改革まで含んだ取り組みのことです。営業部門のみでなく、営業に関わるすべての部門の体制を見直しながらシステムを導入するところに特徴があります。セールス・イネーブルメントの考え方、活用イメージについて紹介します。

セールス・イネーブルメントの概念

セールス・イネーブルメントとは2010年ごろに米国で生まれた、企業の営業活動を強化するための業務改革を伴った営業支援の取り組みです。営業部門だけでなく、マーケティング部門、人材開発部門など営業に関連する部門が連携し、これまで個別に行われていたマーケティング、ツールの導入や資料作成、営業プロセスの把握、営業の教育、フィードバックなどの営業施策を実施します。

米国では、セールス・イネーブルメントの実施にあたり専門部署を設けるケースが一般的です。独立したセクションの場合もあれば営業部内に設ける場合もあります。ベテランの営業、マーケティングのプロ、ITツールに詳しい人材、人材開発担当者など各分野の優秀な人材を配置し、営業現場を支援する体制をとります。

なぜ、営業を支援するためにほかの部門を巻き込んだ組織を作る必要が出てきたのでしょうか? この背景には、営業を取り巻くビジネス環境の大きな変化があります。

セールス・イネーブルメントが求められる背景

ビジネスのグローバル化や情報化社会の急速な進歩などのビジネス環境の変化により、現在の営業職に求められる仕事の範囲はかなり広範囲になっています。以前と比べ、営業担当者はマーケティング感覚や各種ITツールを使いこなす能力なども求められるようになってきました。

顧客側も一次的な情報はネットで収集できる時代。担当営業にはより深い知識や、鋭い分析を伴ったハイレベルな提案を期待するため、多くの営業はリサーチや資料作成などに追われ、商談に時間を割けない状況にあります。

このような状況下にある営業現場の問題を解決するためには、営業部門のみに特化した施策ではなく他部門も連携した新しい営業支援体制を作る必要があり、セールス・イネーブルメントという考え方を取り入れる必要性がでてきました。

セールス・イネーブルメントを実現するツール例

セールス・イネーブルメントは営業現場を継続的に支援する体制を会社がとるという考え方です。具体的な方法としては、営業が必要とする資料やツールの提供、ナレッジを共有するシステムの導入、マーケットに即した組織変革などがあります。ITツールにはシンプルなアプリからAIを搭載した多機能なクラウドシステムまで、さまざまな種類の商品が登場しています。ITツールについては、まず、現在の自社の営業部門で何がボトルネックになっているかを確認し、現場に合ったツールを選択することがポイントです。
セールス・イネーブルメントに関するツールやシステムには、以下のようなものがあります。

1.SFA(営業支援システム)・CRM(顧客管理システム)

顧客情報や営業プロセスをデータ化し活用することで、営業の生産性を向上させるためのシステム。データ、資料、ナレッジなどをメンバー全員で共有し活用可能。もともとはSFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)と別な機能を持つシステムとして認識されていたが、近年は両機能を併せ持つ多機能タイプも登場。AI機能を搭載したシステムも増加中。

2.インサイドセールスシステム

インターネット越しに対面で商談できるWebシステム。画面共有機能で資料の説明も容易なため、打ち合わせ・商談に利用可能。営業が訪問に要する時間がなくなるので、一日の商談件数を増加させることができる。交通費や出張旅費などの経費も削減。

3.ウェビナー

オンラインセミナー(Webセミナー)のこと。セミナー映像や商品デモの動画をネット配信できるため、多忙な顧客や遠隔地の企業に対するPRツールとして有効。実際に開催したセミナーも録画し二次利用できる。

4.交通費自動精算システム

Googleカレンダーといったクラウドシステムのスケジュール表に訪問予定を入力するだけで、交通費を自動的に精算しそのまま経理に申請できるシステム。日々の交通費精算に費やす時間を削減。

なお、ITツールの導入に際しては社員のITリテラシーを考慮する必要があります。リテラシーが低い場合は経費精算システムのような効果が分かりやすく扱いやすいツールから導入し、段階的にほかのシステムと連携させていく方法があります。

セールス・イネーブルメントの取り組み例

各業界・企業によってベストなセールス・イネーブルメントのあり方は異なります。ここではいくつか活用パターンを紹介します。

多機能SFAを導入し世界の各支店のリソースを活用

SFAの導入によって、国内・海外各拠点の最新データ、マーケティング資料、提案書フォーマットをシステムに集約できたことで、営業が随時利用できるようになりました。これにより、提案書作成にかける時間と労力が大幅に軽減。各種資料の利用頻度、成約率、プロジェクトの成功率をもとに、参考になる資料や提案書をAI機能がレコメンドするものもあります。中途採用者が多いあるコンサルティング会社では、この体制により営業が戦力化するスピードが速くなりました。

Web商談ツールを活用。インサイドセールス部隊を編成し生産性向上

Webサイトからの問い合わせを仕分けし、訪問の必要がない案件について電話などで対応を行うのがインサイドセールス部隊です。重要案件のみ従来の営業が訪問する体制に組織を編成しました。インサイドセールス部隊はメール、電話、Web商談ツールを活用し、成約までをすべてオフィス内で行います。Web商談ツールは取引先にも時間が節約できると好評。一日の商談件数が多いため利益率が改善しました。また、営業も重要案件に集中でき、営業部全体の生産性が向上しました。

モバイルシステムを導入し営業効率アップ。コーチングも手軽になる

タブレットで利用可能な多機能アプリケーションシステムを導入し、資料、データ、動画、音声などを登録することで、営業がオフライン時や移動時でも閲覧・使用ができるため営業時間を効率的に活用できます。管理職から部下へのコーチングもモバイル上で行えるため、上司・部下のコミュニケーションも活発になりました。

セールス・イネーブルメントの取り組み方や成果は千差万別です。導入に当たっては、常に営業現場とコミュニケーションをとりながら、自社の問題点を的確にキャッチし、最新のテクノロジーを上手に活用しながら現場を支援していくことが大切です。

 

まとめ

セールス・イネーブルメントは新しい概念なため、これからいろいろなツールや取り組み事例が出てくることが期待できます。組織改革を伴う大掛かりな取り組みもありますが、単一機能のアプリを導入するといったように限定的に始めることもできます。目的はあくまで営業現場の成果を上げること。そのためには組織の見直しや、ITシステムの上手な活用が必要です。

 

参考:

 

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