成功するコンプライアンス研修とは?事例と階層を押さえよう

人事・総務

2017年度に業法・法令違反や脱税、粉飾決算などの「コンプライアンス違反」が一因になった倒産は195件(前年度179件)発生し、3年ぶりに前年度を上回りました(出典:2017年度「コンプライアンス違反」倒産|東京商工リサーチ)。
欠陥エアバッグ問題や被害者が全国に広がった磁気治療器の預託商法、成人の日にこつぜんと消えてしまった振袖のレンタル会社など、ニュースをにぎわせた企業もありました。
また、SNSの普及に伴い、社員が無意識に情報漏えいをしていることや、顧客の個人情報を公開してしまうケースも増えています。
ほかにもハラスメントや差別への対策など、職場には考えなければならない問題が山積みです。

このような時流のなかで、コンプライアンス研修は企業にとって欠かせないものとなってきています。それでは、どのような研修をすれば効果的にコンプライアンスを守ることができるのでしょうか。

コンプライアンスとは、企業の一員として正しい行動をとること

企業におけるコンプライアンスとは、職務のなかで法律を守り、常識や倫理にかなった正しい行動をとることです。
社内コンプライアンス研修では「違法行為の防止」「違法行為の発見」「法律に則った企業内のルールを設定し、社員が順守する」という、主に3つの目標の達成を目指します。
効果的なコンプライアンス研修にするには、個人の意識を高めることが大切です。例えば、はじめに社員一人ひとりが、顧客や取引先、同僚や上司、または株主など、仕事を通して関わっている人たちを思い浮かべます。
そして、その人達の期待に応えるにはどうすればよいか、また、何をすると期待を裏切ることになるのかを考えるのです。
そうすると、漫然と講義を聞くよりも、コンプライアンスが身近なものに感じられるでしょう。
個人の意識の高まりは、コンプライアンスの理解促進につながります。そして、各自の行動に影響を与えるのです。

事例を使ってコンプライアンス研修を分かりやすく

コンプライアンス研修は、事例を通して学ぶことが効果的であると言われています。
なぜならば、実際に起きた事実は、受講者の興味関心を引くからです。
そして事例を追うことで、コンプライアンス違反が起こるとどうなるのか、難しい法令を覚えなくても大まかにつかむことができるでしょう。
近年、社員が企業の不正や問題点を組織内部の窓口へ通報できる「内部通報制度」が注目されています。
このような制度がどのように機能するのかを伝えるときにも、事例は便利です。
実際に起きた出来事に沿って学習を進めることで、自分が内部通報する立場になったときに、企業がどう対応するか、そして通報者が不利益を被らないよう、どのような法律で守られるか、よく理解することができます。
事例を使うことで、制度の概要だけを学ぶよりも、具体的にどう行動すればよいか分かりやすくなるのです。

コンプライアンス研修は役割に合った階層別がおすすめ

コンプライアンス研修の教材を探してみると、テーマ別、業種や部門別、階層別などさまざまなタイプがあります。
どの教材も受講者に合わせた内容が学べるよう工夫されていますが、特に組織内の役割に合っていることが選択のポイントとなるでしょう。
組織のなかで職位が上がると責任範囲が広がり、社内で直面するコンプライアンス問題も多くなります。
研修の内容も、その責任範囲に合っていなければなりません。
階層別に研修を実施することで、各自の責任範囲に合った実践的な知識を身に付けることができます。
以下に階層別にコンプライアンス研修を実施した場合の例を挙げてみます。

新入社員・一般社員はコンプライアンスの基礎知識を習得

新入社員や一般社員の目標は、コンプライアンスの基礎知識を得ることです。
コンプライアンス違反が企業や社員自身に及ぼす影響を知り、防止する方法を考えます。
例えば、メールの誤送信や情報が入った記憶媒体の紛失など、社員の不注意な情報の取り扱いが情報漏えいという大きなコンプライアンス違反のリスクになることや、コンプライアンス違反と思われる業務を先輩から頼まれたときにどう行動するべきかなど、日常業務のなかで起こる問題への対応方法を学ぶとよいでしょう。
行動規範を守ることの重要性を教育することも大切です。

中堅社員の目標は、責任者としてコンプライアンスに対処できるようにすること

主任や係長クラスの中堅社員は、自分がコンプライアンスを順守することに加え、所属部署内でのコンプライアンス違反のリスクに対処できることが望まれます。
部下の見本となり、現場のリスク管理をし、リスクが発生したときには、現場と上司を結ぶパイプ役として活躍できることが目標です。
業務に慣れ、仕事に自信が出てくると、コンプライアンスに対する意識が甘くなる人も出てきます。
研修は気を引き締めるためにも有効です。

管理職は、部署レベルのコンプライアンス対策と問題解決を目標にする

課長や部長などの管理職は、コンプライアンスを社内に浸透させる中心人物となります。
研修の目標は、自分が責任を負う組織のコンプライアンス方針を定め、有効なリスクコントロールができるようになることです。
そのためには、研修内容を部署内でしっかり定着させるしくみ、研修を継続させるしくみづくりも重要です。
事例の研究を通して、実際の職場の組織風土やリスク対応マニュアルを見直してみることも役に立つでしょう。

経営者・取締役は全社のコンプライアンスをリードし、体制を確立する

経営者としてのコンプライアンス責任の再確認と、全社的なコンプライアンス体制を確立できるようになることが研修の目標です。
取締役の法的責任について知ることや、法令知識の習得も必要になります。

コンプライアンス研修には、eラーニングがおすすめ

コンプライアンス研修は、研修した内容がどこまで理解されているか確認しにくいものです。
取り上げる内容も多岐にわたり、一回の研修でまとめるのは難しいかもしれません。また、社員の立場や役職によって学ぶべき内容も変わってきます。
事例を通した研修には効果がありますが、事例を集めてひと通り流しただけで満足してしまうことのないように注意しなければなりません。
そこで、階層レベルに合った内容を適宜学習することができるeラーニングがおすすめです。
特にスマートフォンに対応しているeラーニングプログラムなら、忙しい人でも隙間時間を使って必要な研修を進めることができます。
また、eラーニングであれば、理解が足りない部分を自動的に反復練習できるので効率的です。
eラーニングで各自が学習を進めながら、途中に講義や勉強会などの対面型研修をはさむという使い方をすれば、定着度、理解度を図ることにも役立ちます。

事例を使った階層別の研修が成功の鍵

コンプライアンス研修を計画するときには、受講者が理解しやすい事例をもとにすること、そして責任範囲や実務経験に合わせた階層別の研修内容を考えてみることをおすすめします。
また、自分に合った内容を自分のタイミングで学ぶことができるeラーニングを上手に取り入れ、繰り返し学習することで、多岐にわたる学習内容を効率的に身に付けることができるでしょう。

参考:

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